人気ブログランキング |

2009年 09月 16日 ( 1 )

 

茅舎

a0097110_23565129.jpg


盆栽や水石に関連するものとして茅舎というのがあります

銅製や陶器製が一番多く、まれに木工製品の茅舎が見受けられます。もちろん、水石ではズバリ茅舎石というのがあり、小さなものは盆栽の添えに使われたりする事も、昔から良く行われていました

水石の世界では「茅舎三寸」という言葉があるように、小さなものを愛玩するような感じで親しまれてきました。もちろん、いまでも大多数の人は茅舎は小さいもの程よろしいと思っていますが、これは添えとしての利用を前提として考えているからであって、添えとしてしか利用してはいけないと決められているわけではなく、飾りの主役として利用しても問題ありませんので、僕は比較的大きな茅舎もいくつか持っています

この陶器製の茅舎も、10数年前に主役として飾るつもりで入手しておいたものです。作者は苔州とありますが、作者の詳細についてはまったくわかっていません

いままでに、この作者のものは何点か見た事がありますが、どれも薄造りで、このように若干の彩色が施されているものがほとんどでした

これは正式には茅舎ではなく、昔のお茶屋さんです。茅舎はありきたりですが、お茶屋さんというのが非常に気にいって求めたように記憶しています

さて、なぜ茅舎というのが、盆栽や水石で使われるようになったのかふと考えてみました。茅舎の定義みたいなものとすると、「田舎の古い小さな古民家」ではなかろうかと思います。いくら古くても庄屋さんのような立派な住宅は茅舎とは呼ばれません。また、古くてもちょっとモダンな古民家も茅舎とは呼ばれず、あくまでも古くて趣のある古民家だけが茅舎と呼ばれています

「古さ」は「寂び」に通じ、「小ささ」は「侘び」に通じているため、侘び寂びを感受する事ができる日本人ならではの感覚に通じるものがあるのではないかと思っています。また、そのようなものは、都会で生まれ育った都会生活者の人にでも、なぜか郷愁を呼び起こされるような感じで、この郷愁というのも日本人ならではの感覚ですね

茅舎の古いものは銅器が多く、古いものは江戸時代にまで遡って作られています。江戸時代は銅器(鋳銅)製造が盛んでしたので、銅製・鋳物・銀製などの古い茅舎も希にあります。ですから、茅舎に「美」を見いだしているのは、郷愁を感じる現代人だけではなく、江戸時代の人々にも共感されていたと思うと、江戸時代の人の美に対する感性というのは凄いものがあると驚嘆してしまいます

ちょっと話が脱線してしまいましたが、何はともあれ茅舎というのは良いものですね


a0097110_2357522.jpg


ちなみに、今月の我が家の床の間は、この茅舎を利用してこのような飾りを行っています。主役が茅舎(お茶屋さん)で軸は鈴虫です。賑やかだった蝉の声が終わるとともに、夏の終わりを惜しむように鳴き始める秋の虫もなかなか良いもので、夏の風情は降り注ぐ太陽・入道雲・蝉などのように主役は昼間のものばかりですが、初秋の今頃は、虫の音や名月(十五夜)のように夜のものが多くなっています。騒々しいTVが無い昔の人々は、研ぎ澄まされた感覚で夜までも楽しんでいたかと思うと、なんとなく現代人の生活が怠惰に思えてきてしまいました(笑)

by haruka000s | 2009-09-16 00:11 | その他