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赤松実生-2

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今回は、3~6年目の作業を少し紹介します

基本作業は、前回とさほど変わりが無く、針金は食い込んだらはずして掛け直すだけですし、秋から冬にかけては、不要な芽を掻き取りながら、自分の望む長さや太さに達したら、いよいよ盆栽化に向けた本格的な作業開始です

これまでは、あまり楽しい作業ではなかったのですが、ここからは、1年毎に盆栽に近づいていきますので、作業も楽しくなります(笑)。まず最初の作業は、幹を思い切りよく切り飛ばすことから始まります

好みの長さや太さに達しましたら、前年の秋までに伸びた芽を1~2cm残しておき、幹を切断することになり、これは秋から冬にかけて行います。切るのは幹だけで、周囲にある葉はすべて残しておきます。そうしておきますと、残しておいた葉元から春になると、新芽がたくさん吹いてきますので、それらを利用して樹芯にしたり枝を作っていくのです

1枚目の写真は黒松ですが、幹の太さが僕の希望まで太ったので、昨冬に樹芯を切り飛ばしたものです。この写真は、春先に撮影したもので、何本もの芽が吹いているのが写真でもわかると思います。これらで樹を作っていくことになります

写真中、右に赤い矢印で示してあるのは、犠牲枝を切除した跡です。左側に赤で芽の様に書いてあるのは、これくらい芽が伸びていたというもので、2cmほどをのこして切り飛ばしてあるのがわかります

青い線で示してあるのは、その前の年に伸びた芽で、切除した残りの部分です。このように前年の芽を少し残しておきますと、コケ順が良くなるからです

根の部分も注意して見ますと、ちょっと根が捩れたようになっていますが、これは「根芸」を少しつけようと思ってしたことで、根芸を持つ変わり木の雰囲気が、これである程度わかると思います


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2枚目の写真は、現在の姿です。このまま、枝を剪定してつくっていく事も可能なのですが、この樹の場合、樹勢もかなり良いですので、芯だけはもう一年伸ばしておいてから再切除することにしました。枝については、そろそろ作っていきたいので、適当な長さに剪定しておき、来春伸び出した枝を使っていきます


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3枚目の写真は、3年生のミニを狙った赤松です。この樹は、10cm前後のミニにでもしようかと思って作っているものです。ミニとは言え、作り方の基本は、まったく同じです

ただ、この樹が他の樹と作り方が違うところは、樹芯を止めずにそのまま作っているところにあります。この樹は、実生3年目で幹の太さはタバコを少し太らせたくらいです。細幹好きとは言え、ミニサイズで細幹としてしまいますと、誰が見てもただの「苗」にしか見えませんので、このような樹は細幹にはせず、ある程度の太りを得るようにして、樹全体のバランスができるだけとれるように作るようにしています。松類は葉が長く、いくら短葉法をかけようとも、10cmサイズで細幹は絶対に似合いません。ですから、もう少し太味を得ようと樹芯を伸ばしておくようにするのです

写真の手前に途中から切断してある枝がわかると思いますが、この枝が将来の樹芯になるよう予定していて、残してあります。今春に先を切除してあり、新芽が3本ほど見えていて、これが将来の樹芯と枝になっていく大事な芽で、この一枝から盆栽に仕立てていく予定です

今冬には針金を掛けて再度整枝する予定で、もう1年間現樹芯を引っぱっておけば、幹の太さもちょうど良くなると思います。これでほぼ素材として使えるようになりますので、あとは、盆栽作り作業や管理になってきますので、この先は、プロや先輩の方に聞くなり、本で勉強すれば良くわかることと思いますので、ここでは省略します

いままでの写真を見てもらいますと、実は、その他にも僕オリジナルの作り方が見え隠れしていることがわかりますが、一番はポリポットを多用しているという事でしょうか。これには、いろいろと理由があるのですが、基本的には、鉢中の温度を上げるためにポリポットを使用しているという事が最大の理由です

それと、ポットの大きさも、だいぶマチマチになっているのがわかり、黒松のポットなどは大きすぎると思うほどですし、赤松のポットについては、2号のポットに2本も植えてあります(笑)

黒松については、少し大きめに作ろうと思ったから、かなり早い段階でこのポットに植え替えて作っていて、今年で4年になります。赤松については、2本ともミニサイズにしようと考えていたので、少々締め気味に作ろうということと、置く場所の問題もあって、1ポットに2本植えてあります

黒松については、来春に仕立て鉢(駄温鉢)に植え替えて管理をするようになります。これは、現状のままですと、樹勢が強くなりすぎますので、樹勢を抑えるためと本鉢に植えるため根の整理をするものです。ですから、仕立て鉢に入れますと、なんとなく盆栽っぽく見えるようになります(笑)

赤松については、もう一年このポットで育成することになります。こちらは、まだまだ樹勢をつけておきたい状態なので、あんまり根をいじりたくありませんので、少々窮屈そうではありますが、もう一年このままの状態にして、翌年になったらそれぞれ仕立て鉢に植え替えて素材の完成になります

ここまでは、実生からミニや小品を作る方法を書きましたが、実生からおおよそ6~8年もあれば樹姿はほぼ完成し、あとは持ち込むだけになります。この間、管理の方法で注意したい事が一点だけあります

それは、芽切りをしない事です。太くしっかりとした模様木の松であれば、芽切りをしながら枝を増やしたり短葉にして鑑賞することになるのですが、ミニや小品で細幹の樹を目指すのであれば、芽切りは厳禁で、ほとんど芽切りはしてはいけません

芽切りにも功罪があり、功の部分は、短葉になったり枝が増える事で、悪い事などないように思えますが、一番の罪は枝が太くなってしまうことです。芽数が増えてしまいますと、枝がどうしても太ってしまいます。枝があまりに太ってしまいますと、細幹の趣(おもむき)がガクッと落ちてしまいますので、枝については、なるべく太らせない管理が必要になってきます。そのための方法の一つとして芽切りをせずに、芽数を調整することがあります。それに、細幹で、たくさん芽をつけてもただ五月蠅いだけですから、仕上げが近い段階になってきましたら、芽数に注意しながら育成すると良いと思います

今回は、ミニや小品を作るためのものなので、比較的早く作る事ができますが、少し大きめの樹を作ろうとしますと、素材を作るだけでも、やはり相応の年月は掛かってしまいますが、これは仕方がありません

大きめの樹を作りたい方もいると思いますので、そのために注意すべき事を次回にでも少し書いてみます

by haruka000s | 2007-10-31 23:25 | 木作り  

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