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赤松 実生

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写真の赤松は、2年前に実生して、昨年、直根を切りポットで一年間養成した小苗です

赤松は私の住んでいる山梨では、恐らく数百万本単位で山野に自生している
珍しくもない、ごく一般に見られる普通種です
その気になれば、いくらでも山採りもできますから
本格的な盆栽にしようと思ったら、山採りをするのですが
今回は、種から作ろうと思い実生してみました

赤松・・・というと樹肌が赤い松を連想します
山に普通に生えている樹や庭園樹・公園に植栽されている樹を見ますと
やはり普通に赤く見えるのが一般的なのですが
不思議な事に盆栽になっている赤松で、肌が赤い物は珍しく
肌が荒れている古木はよく見かけるのですが
肌が荒れずに強い赤みだけを持っている盆栽は、本当に数が少ないもので
小品盆栽では皆無に等しいくらいでしょう

このことは、その樹種が持つ性質によるもので
ほとんどの赤松は、加齢とともに肌が荒れてくるのが普通です
肌が荒れずに赤みだけを持っている盆栽は、もの凄く珍しく
今までに数本しか見た事がないくらいです

この樹種が持つそれぞれの性質として特徴的なものは
花色の違いなどが代表的なものです
同じ樹種でありながら、白花・ピンク花・赤花が咲いたりするのが
その代表的な性質の違いかもしれません
梅などは、花色が違うだけでなく、一重や八重咲きなどの咲き方の違い
咲き分け花が咲いたり、枝垂れがあったりと
バラエティーに富んでいますが、これも梅という樹種が持ちあわせている特徴を
それぞれに活かしたものです
梅は江戸時代前期から日本人に親しまれている古典園芸植物の一つですから
優良な個体選別がされたり、品種が改良されたりしている歴史があります

赤松は江戸時代後期から盆栽になっていますが
花が咲くわけでもない地味な樹ですから
優良系統の選抜や、育種などはほとんど行われておらず
枝垂れ性の赤松が庭園樹として作られたり
岩石性(肌が荒れやすい・雑木で言うところの荒皮性)や亀甲肌の赤松が
選抜されているくらいです
この三つは、現在でも接ぎ木で細々と増殖されています
数は少ないのですが、時たま盆栽にもなっていますので
ご存じの方もいるかと思います

盆栽に作られている赤松では
三陸・能登・長野産などが有名で
こちらでは、長野の北信産の赤松が
肌が荒れやすく、葉性も短葉で細かくなり
盆栽として作るのには、一番優れていると言われていて
特に好まれています
「とはいえ、そこまでこだわっている人は、かなりの赤松好きしかいませんが(笑)」

さて
冒頭の赤松実生苗についてですが
赤松の実生苗くらいだったら、いくらでも山から採ってこれるのに
なぜ実生をしたのかが今日のポイントです

2~3年前に、仕事である公園に行ったところ
駐車場の周りに植えられている、10数本の赤松があり
何気なく見ていましたら、どの樹も肌がまったく荒れていなくて
綺麗な赤色をしているのに気がつきました
「えっ、ここの赤松はなぜ肌が荒れていないのだろう」と不思議に思い
しげしげと何本かの樹を眺めていましたら
なんと、この赤松はすべてが接ぎ木で作られていた樹でした
すべての樹が、足元(根元)20~30cmくらいから接がれていて
台木は肌が荒れた赤松で、接がれた上は荒れずに赤くなっていたのです
太いものは、直径が60cmくらいも木ですから
50~70年生くらいでしょうか
恐らく、肌が荒れずに赤くなる性質を持った樹を接ぎ木して増やしたものでしょう

これは面白い木を見つけたとばかり
一昨年の秋にまだ青い松ぼっくりを採集してきて
その種子を蒔いたのが、この実生苗なのです
順当に考えれば、親の持つ形質(性質)が、ある程度は遺伝されるわけですから
この実生苗も肌が荒れずに赤くなる形質(性質・特徴)を持っていると考えられ
その形質が発現され、幹径2cm前後・樹高20~30cmくらいで
肌が荒れずに真赤なものができるであろうという甘い考えで、実生したのです

赤肌の赤松盆栽など夢みたいな発想なのですが
こんな樹ができると楽しいのですが、どうなることやら・・・・

by haruka000s | 2007-04-03 00:09 | 盆栽  

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