<   2008年 03月 ( 11 )   > この月の画像一覧

 

伊勢杜松

こちらの山にあるトショウは葉性が非常に悪く、とても盆栽にはならないのですが、伊勢地方にある杜松や東濃地方にある杜松は葉性も良く、昔から盆栽として良く作られてきています

特に伊勢杜松は葉性が細かく、触ってもそれほど痛くありませんし、芽も混んでできるので、まさに杜松盆栽としては鏡みたいなもので、葉は長く痛く、芽も混まずに成長が悪いこちらの杜松とは比べものにならないくらい優れた杜松です

昔は、地方の杜松でも舎利が良いものなどは、伊勢の穂を接いで作られていましたが、最近はあまり人気がないのか、伊勢杜松を見かける事が少なくなりました

一昨年、その伊勢杜松を知人が作っていましたので、一鉢挿し木親としてもらい受けてきました。昨年一年間は芽摘みもせず、伸びてきた枝を伸ばしっぱなしにしておきました

5号鉢に植えてある小品ではありますが、勢いよく伸びた芽は30cmほどにまでなっていて、旺盛な生育状況である事がこれだけでもわかります。これくらい伸びるのであれば、挿し木から作っても思いの外早く作れそうな気もしますので、僕向きの樹種と言えるかもしれません(笑)

昨年は八つ房杜松を挿しましたので、今年はシンパクと伊勢杜松を挿して遊んでみようかなというところで、シンパク・赤松・八つ房杜松・伊勢杜松と、ここしばらくの間は、松柏を中心とした盆栽ライフになりそうな予感です

それにしても、松柏盆栽の王者と言えば黒松と五葉松といったところなのですが、黒松については貰い物の小品(素材)が数本しかありませんし、五葉松に至っては一本も持っていません(笑)

黒松については、豪快で力強そうなところが何となく好きになれなくて作る気がおきない樹種です。五葉松については過去に2本ほど作った事はあるのですが、その時は2本とも夏に枯れてしまい、どうも相性が良くなさそうなので、それ以来作りたいとも思っていません(これは管理が良くないのは明らかなのですが、仕方がありません)。いずれにせよ、松柏好きではありますが、このような単純な理由で黒松と五葉松は、作らない事にしています

ずぼらな僕の管理でも枯れなかった強靱な生命力を誇るシンパクと赤松だけを、昔は作っていたのですが、これからは八つ房杜松と伊勢杜松を仲間に入れて作っていきたいと考えています
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by haruka000s | 2008-03-31 23:34 | その他  

挿し木・2

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昨年は、シンパク・八つ房杜松とともに甲州野梅・ヒョウタンボク・キハギ・ハコネサンショウバラ・ヤマコウバシ・エノキ・キンロバイを挿し木してみました。甲州野梅は単純に良系統の増殖目的で、ヒョウタンボク・キハギ・ハコネサンショウバラは数本を古枝挿し、ヤマコウバシ・エノキ・キンロバイは特殊用土で挿し木が効くかどうかの試し挿しを行ったものです

この中で一番驚いたのがキハギです。なぜ驚いたかといいますと、挿した古枝は2本でしたが、その2本とも綺麗な八方根張りに発根していたからです。過去からでは、かなりの種類の樹を挿した事があり、なかには綺麗な八方根張りに発根する木もありましたが、全ての挿し穂が八方根張りになるような樹種はありませんでした。それなのに、キハギは2本とも素晴らしい根張りで、確かに2本中2本と分母が小さいので確実には断言できませんが、かなりの高確立であることは間違いありません

キハギはそこらの山に普通に生えている樹で、盆栽に作る人も少ないのですが、軽い斜幹に作ると涼しげで優しい風情がするので、好きな樹種の一つでもあります。今までも山実生苗から何本か作ったことがあるのですが、直根や走り根が多く綺麗な座を作る事など無理と思っていたのですが、挿し木で簡単に八方根張りができるのであれば、これほど楽な事はありません。もちろん、取り木を掛けても八方根張りができそうな気もしますので、取り木をしてみるのも良いかもしれません

僕が挿したのは、直径が鉛筆より少し細いくらいの枝ですので、この太さというのも発根に関係するかもしれませんので、興味のある方はお試し下さい。小品やミニでも作れますので、誰でも楽しめる樹種かもしれません

ヒョウタンボクも古枝挿しで発根状況は悪くなかったのですが、八方根張りというほどではなく走り根も出てしまいましたハコネサンショウバラもバラ科植物らしく、活着率100%で発根状況も良かったのですが、根張りという点ではそれほど特筆するようなものはなかったです

ヤマコウバシも発根率100%と想像以上の発根成績です。クスノキ科の仲間ですので、ある程度は発根するだろうと想像していましたが、こんなに発根成績が良いとは思ってもいなかったです

エノキはもちろん100%の活着率でした。ヤマコウバシとエノキの挿し床として使ったのは、腐葉土をたくさん混ぜた特殊用土でして、発根後の成績がどうなるのか見てみたかったら使ってみたものです。用土に腐葉土を混ぜてしまうと、さまざまな菌が用土中に蔓延してしまうはず
なので、発根成績は良くないとは思いますが、発根してからの生育は良くなるだろうと思って試したものです

肝心の結果については、エノキの生育状況は良かったのですが、ヤマコウバシについては、挿し木後芽がまったく動かなかったので生育状況の良否の判定はできませんでした。ヤマコウバシは剪定しても芽は絶対に動かないので、どうなのかなとは思っていたのですが、すべて発根しました。なんとも不思議な植物です。この腐葉土混入用土には、試しにシンパクも挿しておいたのですが、活着率は90%で活着率はまずまずでしたが、用土が加湿気味だったため発根状況は思ったほど良くない感じでした。潅水を控えれば違った成績になったとは思いますが、なかなか思ったとおりにはいかないのも、盆栽の楽しさなのかもしれません

少し前に、杜松は真柏よりも柔らかくて自由自在に曲がると書きましたが、どうもあれは間違いでした。文人調に細く捩ったものは問題なかったのですが、真柏のように強い曲をつけようとしたものは、すべて折れてしまいました(笑)

松柏に強い曲をつける時は、ゆっくりと捻っていると「クキッ」という感じで芯が折れ、芯が折れますと強く曲げれば曲がってくれるのですが、今回も同じようにしたのですが、赤松と同じように「一気折れ」でして、芯が折れてもそこから強く曲げていくと一気に茎全体が折れてしまいました

杜松を作るのは最初ですから、少しでもその感覚を身につけようと思って、かなりチャレンジしてみたのですが、強い曲をつけようとしたものは、すべて折れてしまい1本も成功しませんでした。折れてしまったものは仕方がありませんので、折れ口で切ってポットにあげておいたのですが、ミニ杜松になりそうです(笑)

こんなに簡単に一気折れしてしまうのであれば、杜松の場合は細い枝なら自由になりますので、曲をつけてから挿した方が良さそうです。もしくは細い枝を挿すかですね。ちょと勉強になりました

今日の写真は、一番成績の良かった八つ房杜松です。割り箸くらいの太さの穂を挿しておいたのですが、かなり太りました。挿したものがすべてこれくらいの成長をしてもらえると挿し甲斐があるのですが、なぜか、この1本だけ異常に成長しただけで、他の挿し穂はそれほどでもありませんでした(笑)

さすがにこれくらいになりますと、2.5号とか3号のポットでは入りませんので、この木だけは駄温鉢にあげました。ミニにしようとすると3年くらいで仕上がりそうですね
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by haruka000s | 2008-03-23 23:04 | 木作り  

挿し木

挿し木はクローンを増やす技術としては、一番手軽でだれにでも簡単にできるのが良いところです。盆栽をやっているほとんどの人は試した事があることと思います

また、むやみに挿しまくっていると、鉢数だけが増えてしまい、置場に困るようになってしまうのも、誰しも経験があるかもしれません(笑)

それでも、自分の手で苗を作って、一から盆栽作りに挑戦するという事は非常に面白い事で、普通盆栽ならともかく小品盆栽を作るのなら、それほど時間もかかりませんし、何より自分好みの姿(樹形等)を作る事ができるのが一番のメリットではないのでしょうか

僕の場合、ほとんどが細幹で文人調の樹を作りますので、挿し木からでもそれほど時間がかかりませんから、好みの樹を作りたい場合は、挿し木から作る事が多いです。もちろん気に入った素材を購入して作る方が効率的で良いとは思うのですが、赤松や山柿などは文人の素材を見かける事はあるのですが、他の樹に至ってはなかなか見る事すらまれなので、自ずと自分で作らなければならない事も理由の一つになっています(もちろん、お金がないので自分で作るというのが一番大きな理由ですが・笑)

また、挿し木してまで作るとなると、よほど好きな樹種でなければ挿そうとまで思わず、挿し木ができるかどうか試してみる樹種もたまにはありますが、僕が挿して作ろうと思っているのは、ほとんどが松柏類で真柏だけは好きな樹種ですので、毎年挿して作るようにしています

毎年挿しているので、すでに200本近くになってしまいましたが、今年も懲りずに少し挿してみようかと考えているところでして、挿し穂を用意しました。たぶん40本近くあり、活着しないものも多少ありますが、30本以上はつく事になります。こんなに増やしてどうするのか?・・・・と自問自答する事がありますが、こればかりは好きなのでどうしようもありません(笑)。そのうち棚を増やして対応するしかないでしょう

昨年は、真柏を40本ほどと、八つ房トショウを30本~40本ほど挿したのですが、まだ挿し床からあげてもいないのですが、真柏については、挿し穂をもらう知人がすでに剪定に入ってしまったので、とりあえずもらってきたものです。今年は、この真柏と伊勢トショウを挿そうかと考えています


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松柏好きなので、どうしても真柏の挿し木ばかりになってしまいがちで、八つ房トショウを作るのも初めてですし、伊勢トショウも初めてです。知人の話によると真柏よりも曲がるし、太りも早い(八つ房トショウは)し、小枝も摘んでいればすぐに棚がのるから仕上がりが早いということなので、試しに少し作ってみる事にしました

実は、トショウの方が幹が堅いものと思っていたのですが、同じ太さの幹で比べてみると、意外や意外トショウの方が確かに柔らかく、思い通りの曲を付けることができそうに思いましたので、ちょっと楽しみにしているのですが、移植に弱いそうで、畑で作って鉢あげしようとすると、結構枯れてしまうということだそうです

それにしても、すでに長いものは80cmくらいにまで伸びてしまい、想像以上に生育は旺盛なので、思っていた以上に面白い樹種ではないかとも思っています


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この写真は、先日もらってきた真柏の挿し穂で、今年は育苗箱に挿してあり、短いものは15cmくらいで、長いものは60cmくらいあります。いつもならこのような短い挿し穂は挿さないのですが、ミニ苗を作ってくれないかと知人に頼まれていますので、ミニ用に少し短めのものが挿してあります

ミニとは言え、普通の挿し木苗からも作れるのですが、細かい曲を付けるために細めの穂を挿してあります。自分で挿して好みの曲をつけた方が良いのではと思っているのですが、自分では気に入った曲を付ける事ができないということで頼まれました。僕の曲だって気に入られるかどうかわかりません(笑)
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by haruka000s | 2008-03-20 22:59 | その他  

仮伏せ

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少し前に数少ない植え替えは無事終了したのですが、これからは昨年挿し木したものをポットにあげる作業が残っています

これから予定しているのは、真柏と八つ房杜松です。真柏は僕のメイン樹種ですので、40~50本くらいは挿してあり、八つ房杜松は初めて挿したのですが30本くらいあり、先週末は忙しかったのですが、合間を見て挿し木しておいた真柏の根ほぐしだけを済ませておきました

この写真は、根をほぐす前の状態で、10号の駄温鉢に40~50本ほど挿しておいたもので、鉢から抜いた状態です。挿し穂は本性の糸魚川真柏で、密挿しにしてありますので懐はけっこう枯れこんでいますが、ほとんどが文人になってしまいますので、僕には全く問題がありません(笑)

日曜日は気温も高かったので、すぐに根が乾いてしまいますので、霧吹きで水を吹きながら丁寧に根をほぐしました


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すぐに植え替えができれば良いのですが、とてもそんな時間はありませんので、今回の作業は挿し木苗をほぐして仮伏せすることにあります。この画像はその途中経過の様子で、家の陰になっている部分に穴を掘り苗を伏せているところです

10本ほど根をほぐし並べて、霧吹きで湿らし軽く覆土したところです。わずかに白根が動き出しているのがわかると思いますが、僕には珍しく慎重に根をほぐしています

長いもので根長は30cmほどありますが、もちろん根はまったく切りません。かなり長い根であろうと、これから無理矢理3号ポットに植え込む予定です(笑)


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そうして、すべての作業が終わった時点で最後の覆土をしておき、たっぷりと潅水したのがこの写真です

霜で焼けていた葉もほとんど緑に回復してきましたので仮伏せしましたが、もう少し早く伏せたかったですね。でも、時間がなかったのでこれはこれで仕方がありません

それでも、仮伏せできただけでもラッキーという感じです。このままの状態でも1~2ヶ月は大丈夫ですので、とりあえずホッとしているところです
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by haruka000s | 2008-03-17 23:24 | その他  

長寿梅

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赤花の長寿梅は、四季咲きであって主役にもありますし添えにもなりますし、おまけに好みの樹形に作る事ができますので、昔から特別の人気がありました。盆栽をやっている人は、ほとんど持っていると言うくらいの樹種でしょう

昔は、ヤゴ芽を活かした寄せ植えが主流だったのですが、最近では根を丸めて癒着させ瘤状に作った樹形や、単幹の太幹などが人気のようで、そのような素材や作品を見かけるようになりました。ちょっと前なら考えられないような作品が作られるようになった技術の進展は目を見張るものがあります

寄せ植えや単幹には素晴らしく目を見張るような作品もあるのですが、とても僕には作れそうもないので、文人・石付き・多幹樹形などを作ろうと、2年程前に安価な素材を挿し木親として購入しました。昨年には数本の挿し木苗を石に付けてみたりしましたが、文人や多幹を作るのにはまだまだ時間がかかりそうですが、少しずつ楽しみながら作っていきたいと考えています

最初の写真は、挿し木親として購入した樹です。幹に振りもなくただ鉢植えみたいになっていたので、安くても(500円)誰も見向きもしないものでした。僕は挿し穂が欲しかっただけなので、本体など気にしませんのでとりあえず購入し、先だけ残して本体にあった枝は全て挿しておいたものです。幹を良く見てもらえるとわかるのですが、枝抜き跡ばかりです(笑)

このままでは、どうにもなりませんので、長寿梅らしくない軽い樹に仕上げようと少し手を入れる事にしました。こんな樹に手を入れるといっても、それほど大袈裟なものではなく、これでは模様木などにはなりませんから、左へ下垂している一群で作るか、上部にあって頭状になっている一群で作るかだけの選択です


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結局は左へ下垂している一群で作る事に決め、上部は切除する事にしました。作業時間は、枝を抜いてボンドを塗るだけですから2分程で終了しました。とても盆栽を作っているという実感はありません(笑)。これからは少し曲を入れて、枝群を少し前方に持っていきたいところですが、たいした樹にはなりそうにありません

普通なら、小枝を混ます為に剪定したり、葉刈りをしたりしながら作るのが長寿梅の鉄則なのでしょうが、真反対の作り方です(笑)。まあ、しょせんはただのなんちゃって盆栽ですから、こんなものでしょう


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こちらは、僕には珍しい太幹です。中品くらいに作られていた3000円の素材でしたが、挿し穂とともに根伏せ用の根も取れそうなので、思い切って購入し主幹を切断して作っています。先端だけ引っ張っていたのですが、7割方切断傷も埋まりましたので、犠牲枝を切断し作っていこうかと考えています


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とりあえず、伸ばしておいた犠牲枝を切除したものがこの写真です。ほとんど丸裸状態から作り始めたので、枝もほとんどできていなくて、これから数年掛けないと枝も混んでこないでしょうが、枝作りに入れるようになっただけでも、多少の進歩はあるから、まあ良しというところです

見てのとおり、たいしたものではありませんが、これなら何となく普通の盆栽っぽくなってきました。でも、僕の作る盆栽ではなく、どこにでもありそうな物なので面白くも何ともありません。何より洒落ていないのがいけません

ちなみに、文人用に育成している挿し木苗は庭で育成していまして、現在30~50cm程度にまで伸びていますので、1~2年後くらいには鉢にあげて作り出す予定です。石付きについては、まだまだ時間がかかりそうで、あと3~4年くらいしないと素材にすらなりそうにありませんが、いつかはご紹介できるかと思います
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by haruka000s | 2008-03-12 00:04 | 木作り  

植え替え時期についての考察

陽気もだいぶ良くなってきて、外で作業をするのも楽な時期になってきました。盆栽では植え替え時期になってきたようです

植え替えについては、真夏を除く一年中できると思っているのですが、その効果を考えると、やはり春先の時期が植え替え適期ではないでしょうか。春は気温も上がり、芽も根も旺盛な発育をする時期ですので、適期と言えるでしょう

一般的には、「芽が動き出してきた頃」とか「芽動きが始まった頃」が適期とされていますが、僕の持論は「根が動き出す前」ではないかと思っています

植物は最初に根が活動を始めてから芽吹きを迎えますし、種子が発芽すのも根から発根してくるように、根が最初に活動した後、芽吹きや発芽が始まる事から、根の活動を知るという事は植物生理上からも大事な事と考えています

植物には生育適温というのがあり、低温や高温であればほとんど活動はせず、生育適温時にだけ活発に活動を行っていて、日本産の植物は種類にもよりますが20~25度くらいが生育の適温とされていて、この整理特性を活かす事ができれば、木作りは早まっていきます(この事は別の機会にでも・・・)

それに対し、根の生育適温はやや低めで15~23度程度となっています(樹種によって若干違いますが)。根の生育適温が低いという事は、春先は先に根が活動を始め、秋になり芽の生育が止まっても根は活動していると言う事を示しています

秋肥は長く効くとか効果があるというのも、この根の生育特性からきているもので、上部はまったく活動していなくても、樹木本体には根から吸収した養分が蓄積される事になり、翌春の力強い芽出しが期待できる事になります

さて、それだけ重要な役割をしている根ですから、植え替え時には大事にしたいですし、適切な処理を心がけたいと考えています。育成中の若木なら根を切らずに植え替えするというのは前述したとおりなのですが、本鉢に入るような完成木や完成間近な木については、植え替え時にかなりの根処理をしなければなりません。その時にどのような事に注意しなければならないのかは、ズバリ「植え替え時期」だろうと考えています

前述したとおり、植物の根は芽よりも低い温度の時から動き出します。芽が動き出しそうだからといって鉢から抜いて見ると、すでに白い根が旺盛に動き出しているという経験は誰しもしていると思いますが、動き出してしまった根を切除するというのは、あまり良い事ではないのは言うまでもありません。ですから、根が動き出す前に根を切って植え替えをした方が、後々の生育が良くなるはずで、植え替えの最適期とは、根が動き出す前が一番良いという事になります


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この写真は、赤松の小苗ですが、まだ白根が見えておらず、そろそろ根の先が動き出そうかという感じです
(この樹の場合、小苗なので根を切りませんので、これで十分です)


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こちらの写真は、左がクヌギで右がコナラです。同じ日に植え替え(撮影)をしたのですが、クヌギやコナラの方は、すでに数cmも白根が伸び出しているのがわかります。僕からしますと、これだけ白根が伸びてしまっていては、植え替えのタイミングが少し遅すぎているという感じです。あと10~15日ほど早くても良かったかなと思っています

とは言っても、雑木と松柏では根の生育速度や伸長度も違い、雑木の方が松柏よりも強健に根が伸長しますので、根を切る事の影響は少ないようで、松柏の方が影響は大きく感じています。そのようなこともあって、普通なら雑木から始める植え替えですが、僕はあえて松柏から始めるようにしています

つまり、松柏だけは根が動き始めてからでは、ちょっと遅すぎではと思いますし、雑木であれば旺盛な生育をするので、かなり根を切っても管理さえキチンとできれば十分に生育できるだろうと

ちなみに、このクヌギとコナラはポット植えから駄鉢植えに昇格し、思い切って切除したので根量は10分の1くらいになってしまいました。あと2~3年すれば本鉢にあげることができると思いますが、本肌がくるのはまだまだでしょうね
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by haruka000s | 2008-03-09 22:38 | 木作り  

赤松植え替え・2

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今回は昨年採ってきた山実生苗の植え替えです

4寸くらいの深めの鉢に仮植えしておいたもので、1本枯れてしまいましたが、ほとんどが活着しています。仮植え時の用土は赤玉単用で、活着が確認された年末に軽く針金を掛けておきました。このままの状態で、もう1年作ってもかまわないのですが、どうせほどんどが寄せ植え材料にしてしまいますので、小さなポット植えにしおきました。これらは、後々の生育を見ながら2~5幹に寄せていくことになります


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鉢から外した様子がこの写真です。鉢廻りにはビッシリと共生菌が回っていて、用土の中にもビッシリと菌が回っていて、根の状態は上々のようです。実生苗にも共生菌は出てくるのですが、やはり山取り苗のためでしょうか菌の発育は旺盛です。とはいえ山取り初年の苗ですので、新根はまだまだ弱く、根を傷めないようにピンセットで慎重に分割して、植え替えを行います


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この写真は、植え込む前に撮影したものです。ポットの中にはゴロ+腐葉土+軽石となっています。小苗を慎重に取り分けた後は、霧吹きで根に水を与えておき乾燥防止をしてあります。写真を良く見ると、軽石の下に黒っぽい物が見えると思うのですが、これらが腐葉土です

用土は、前回赤松を植え替えした用土とまったく同じで、若干違うのは、用土の中に共生菌が付いた元土(大きな鉢の中に入っていた菌が付いた用土)を混ぜ込んでいることです。そうしておきますと、なんとなく根の生育が良いように思っています

今回、実生と山取り赤松の小苗の植え替えを載せてみました。恐らく普通の人と違うのは、腐葉土の混入にあると思っています。初めて見た方は、腐葉土を入れる事など良くないと思っているはずですが、僕の経験上、松柏の若木については、想像以上に好ましい生育状況をしていますので、この方法で行っています

ちなみに、混入する腐葉土については、2種類の腐葉土を混ぜたものを使っていて、混入量は3号ポットの大きさで、玉肥1~2個分程度で過水を避けるため軽石を多めに混ぜてあるのが、僕の使い方です。中品以上のものを作る場合は、植え替え間隔も長くなる事を想定していますので、もっとたくさん混ぜ込む場合もあります

ちなみに、赤松・シンパク・トショウの若木については、腐葉土を混ぜた同じ用土で作っていますが、どれも同じように良い生育をしてくれていますので、ある程度の効果はあるのではないかと考えています
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by haruka000s | 2008-03-07 23:51 | その他  

赤松植え替え・1

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だんだん暖かくなり、そろそろ盆栽も植え替えシーズンを迎えたところで、たくさん所有している方はさぞかし大変な事だろうと思っています

僕は、あまり植え替えはしない方で、雑木なら3年くらい、松柏なら5~6年は植え替えをしません。もちろん生育状況や木の老若により変える場合はありますが、基本的なスタンスは長い方だと思っています。その理由は、一も二もなく根を切りたくないだけで、根を切る事による樹勢の衰えを好ましく思っていないから、できるだけ植え替えの間隔は長くしたいと考えているからです

そのような考えですから、実際に植え替えをする鉢数は少なく、毎年数鉢程度といったところでしょうか。盆栽を再開したばかりですので、植え替えをするのが少ないのは当たり前で、植え替えを予定していたものは数鉢だけで、すでに終了してしまいました


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また、根を切る事を嫌っていますので、他の作業は適当に済ませても、植え替えだけは慎重に行っています(笑)。根の伸長が良い雑木などはかなり適当に行っていますが、根の伸長が遅いと思われる松柏などは、丁寧な作業をしようと心がけています

この赤松は、実生から4~5年生くらいのもので、2号ポットに2本ずつ植えておいたもので、もう1年くらいは大丈夫かなと思うのですが、どうせならと、今年分ける事にしました

この樹は小品用に作っていますので、今年からは3~3.5号ポットに1本ずつ植え替え、このポットで完成近くまでの数年(5~6年くらいかな)育てて持っていく予定です


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写真を見てもわかるとおり根もちょっとだけ動き出しています。この時(最初の植付け時)は、ポットが小さいのでゴロは敷かずに軽石をゴロ代わりに多めに混入させているのが、これでもおわかりかと思います

用土は赤玉(6)・軽石(4)位の割合で、底には赤玉のゴロが入れてあり、その上に軽石と腐葉土を混ぜたものを軽く敷いてその上に植え付けるという方法で、あまり聞いた事のない方法だとは思いますが、松柏の若木についていは、この用土(腐葉土入り)を使って育てるようにしています

いつもなら、根はほとんど切らないのですが、今回は長くこの鉢で育てる予定になっているので、太めの根や不要な根は切除してあり、根を洗って根際には軽石だけを詰めるようにしておきます。そうしますと、次回の植え替え時に根や用土を整理したりするのに作業が楽になります

樹を植え付けた後は、少し深めに赤玉土をのせておき、少しずつ取り除きながら根張りを見せていくようにしています。普通なら刻んだ水苔などを敷くと思うのですが、なんとなくこのようにしています
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by haruka000s | 2008-03-05 23:20 | 肥培管理  

鉢について考えてみました


盆栽と言えば鉢が付き物ですので、今回は鉢についてちょっと書いてみたいと思います

卓も難しいのですが、中国の渡り物から日本の物、あるいは作家物があったり、真贋まで含めますと、鉢は難しい世界と言えるでしょう

鉢を知る上では「樹に合った鉢とは(鉢合わせ)?」や「鉢の鑑定」が一番大事な事なのですが、この事については別の機会に譲る事として、今回は鉢全般の事についてランダムに書いてみたいと思っています

盆栽を再開しまして、鉢に関する疑問をいくつか持っていますので、この視点から少し考えてみたいと思います。最初は何と言っても人気作家の事について触れなければなりません。当代の人気作家と言えば、東福寺・舟山・香山・湧泉・一石・雄山等といったところでしょう

まずは東福寺についてですが、ちょっとした物でも数万円もしますし、本当に良い物は数100万円もするようになっていたのには、正直なところちょっと驚いています。確かに良い物もありますので、ある程度の評価はすることもできるのですが、何の変哲もない手捻り鉢や焼き締め鉢が数万円もするのは、やはり異常な事で、これも『人気』のなせる技としか思えず、不思議な現象であると考えています。鉢そのものの評価と言うよりも作家の人気によって価格が左右されるのは、ある程度仕方がない事としても、ちょっと行き過ぎと言いますか、趣味者が皆同じ美的感覚を備えているとは到底思えず、ちょっと異様な感じですね

僕が小品盆栽をやっていた時(20年程前ですが)、こちらでは3000円~10000円くらいが交換会の相場でした。良いなと思う物でも僕が購入する場合は5000円くらいまでで、それ以上だと、やはり高いと思っていました。これは、前に書いたように陶磁器と他の工芸品との違いも含めての事で、東福寺の鉢は出来の善し悪しはともかく、総数で考えると、恐らく数万個は流通しているはずで、個々の出来の評価はともかくとして、価格面で考えると10000円はやはり高いと思ったからです

鉢の価格(人気を含めて)は業界が作っている、とか言われていますが、この事の真偽のほどはさておき、人気や価格の操作をするのには、そこそこ味もあるし、何よりも制作枚数が多いので、都合の良い作家であった事は間違いありません。物が良くて制作数が少なければ、人気も価格も上がるのは当たり前の事ですが、これですと、収まる所に収まってしまえばそれでお終いになってしまいますので、制作数が多いというのが扱う業者さんには好条件となるのは必然で

近年は絵鉢と呼ばれる分野(染め付け・赤絵・五彩)も人気があるようで、大助・雄山・月香・一石・湧泉などが高価に取引されています。やはり古い話になって申し訳ありませんが、20年ほど前までは、「こんな絵鉢に盆栽など似合わない」と言う事で、評価は低く大助あたりで2000円くらい、雄山でも5000円前後で取引されていたくらいですから、数倍どころか10倍くらいに値上がりしています。このことも作られた人気かもしれませんが、当時、そのような鉢に見向きもしなかった人達がこぞってそのような鉢を集め始めたりするのを見ていますと滑稽ですらあります(笑)。もちろん、最初から絵鉢が好きで集めていた人もいますので、それはそれで良いのですが、人気が出てきたから欲しくなるというのは、人間の性なのかもしれませんので仕方がないのかもしれません

昔から絵鉢が不人気の理由は、「使い難い」というただ一点です。盆栽や水石を飾るのは、ただそのものを飾ると言う事ではなく、基本的にはそのものの持つ美(侘び寂び・古色感・痩せ等々)を魅せるとともに、季節感を表現するものです。近年の展示会を見てみますと、明らかに夏の山水景色が描かれている鉢を冬場に使っていたり、その反対もあるなど、季節感をまったく無視したような鉢使いを目にしたりしますが、この使い方は良くない事は言うまでもありません。また、山水景等が描かれた絵鉢と盆栽を取り合わせるのも、あまり似合う物ではありませんので、この2点から実用鉢としての評価は低かったのです

もちろん、上手に絵付けをされ鑑賞価値の高い鉢であれば鑑賞鉢としての評価はなされていましたが、あくまでも鑑賞用としての評価だけのもので、和鉢では真葛とか幹山あたりがこれに該当するくらいでしょう

鉢コレクターさんならともかくとして、普通に使うのであれば絵鉢はあまりお勧めするものではありません

窯変については近年になって見直されてきたものです。以前ですと、窯変は発色がおかしい不良品として2級品扱いをされてきた時代もありますが、いまでは立派に陶芸芸術の証として認識されるようになってはきましたが、時には、釉薬が溶けるほど温度が上がらず発色不良をしているものや、逆に釉薬が溶けて流れてしまったようなものまで窯変として扱われたりするなど、知識不足による混乱も生じているように思えます。このあたりはキチンと見極める事も必要でしょう

さて、肝心の良い鉢とはという事についてですが、その条件的な物を列挙してみたいと思います。鉢は陶芸作品でもありますから、陶芸的に優れているものでなくてはなりませんが、まあ鉢作家さんが作っているものは、陶土・釉薬ともある程度選び抜かれたものですし、成形も釉もだいたいはキチンとできていますので、ほぼ問題はありません。あとは陶芸作品としての『味』とか『特徴(個性)』といったところでしょうか。ただ味や特徴と言ってもなかなか文字で表現するのは難しく、味で言うと舟山独特の土目は、舟山だけが出せた土目の味でしょうし、平安香山鉢の持つ直線のシャープさや、独特の均釉の発色などは香山の特徴(あるいは個性)と言えるでしょう。このような作家の持っている味や個性をどのように評価するのかというのが、鉢の評価項目の一つと言えるでしょう

鉢の形状についても考えたい項目の一つになります。形状と言っても鉢形の事ではなく、重要なのは足の作りや位置などです。鉢の形は楕円・長方・正方・丸・木瓜・多角形等とほぼ決まっていますので問題はないのですが、足については同じ大きさの物でも、幅が広い物や狭い物、長い物や短い物などさまざまですし、六角形の鉢に3本足・4本足・6本足などがあったりし、鉢のイメージを決める大きなポイントになっています。ですから、鉢上部と足のバランスというのは非常に大事なもので、鉢の善し悪しを決める大きな要因となりますので、バランスの取れた物が良い鉢と言えるでしょう

ちなみに、多角形の鉢(6角鉢8角鉢等)については、それぞれの角に足をつけるのが大原則となっていて、3本足4本足というのは本来付けなければならない足が省略されたものですから格下扱いをされてしまいますので、正式な足が付いている物の方が良いと思います

価格についても少し考えてみたいもので、鉢でも小鉢はかなり割高ではないかと思っています。これは少し前に書いた事ですが、他の工芸品比べれば一度に大量の物を作る事ができますし、もちろん大量に作られているのにもかかわらず、人気のある物は高値安定しているように感じています。特に小鉢の高さは異常とも思えるくらいの水準ではないでしょうか

価格という面を考えますと、鉢の善し悪しだけで決まるものではなく、人気・大きさ・制作数・釉薬・形状等のさまざまな要素がかかわってきて一概にいえないところではありますが、結局は需給のバランスで決定される事になるのですが、一番大きな要素は何と言っても人気でしょう。たいしたものではなくとも人気が出ると価格は上昇してしまいますが、小鉢界はその傾向が特に顕著に現れている世界だと思います

小鉢専門の方もいますが、だいたいの作家さんは小鉢・普通鉢・水盤とも制作しています。東福寺・陶翠(緑寿庵)・一陽・香山などは、小鉢・普通鉢・水盤ともそれぞれ評価も高く人気がある作家で、東福寺や香山は水盤よりも小鉢の方がはるかに制作数は多く、陶翠や一陽は前の二人に比べやや多くの水盤を残されているように思います。そこで、現在の価格を比べてみますと、だいたい次のようになってきます

      小鉢   鉢   水盤
東福寺   5~15 20~30  20~30
陶翠    3~6  5~10   5~10
香山    5~10 10~15  15~20
一陽    2~5  5~10  15~30

小鉢については、3寸程度の普通出来の物(東福寺や香山などはもっと高いかも)
鉢については、一尺程度の普通出来の物
水盤については、一尺5寸程度の普通出来の物
というように、それぞれ一番使うくらいのサイズで、その価格を比べてみますと、恐らくこんなものだろうと思います

窯の容量は決まっていますので、大きなものほど焼ける枚数は少なくなりますので、当然の事ながら価格は高くなりますので、小鉢よりも普通鉢の方が価格は高いです。また、鉢と水盤では同じように見えますが、水盤の方が焼成時に狂いやすい為(鉢は鉢穴があるため熱や焼成時の変化が逃げやすいのです)、焼くのにも高い技術が必要になってきますので、水盤の方が高価になるのが普通なのです

東福寺は水盤の絶対数が少ないため、水盤価格は高めではありますが、小鉢が数万個に対し、水盤は恐らく数100枚程度でしょうから、小鉢の割高感はあります。陶翠に至っては、小鉢も水盤も似かよった価格ですから、やはり小鉢の割高感は相当なものになります。下手をすれば水盤の方が小鉢より安いような現象も生じていますので不思議なものです。香山も水盤の制作数は少ないため、価格は高めに感じますが、小鉢の割高感は相当あります。一陽は水盤の名手であるとともに寡作でもあったため、水盤の評価は非常に高く陶器的な評価で見てみますと、だいたいこんなものだろうといったところです

また、価格は陶器的な価値だけでなく、需給バランスや人気の有無などで価格の高低も決まってきます。新品ならば大きなものの方が高価なのは前述したとおりなのですが、中古市場(と言っても、普通の市場価格とも言えますが)では、小さなものほど価格が高いという不思議な現象になってしまうのも、需給バランスによるものとなっています

大型盆栽を好む人が減っているので、二尺以上もあるような大型鉢はかなり価格も安くなり、最盛期には100万円もするような大型鉢が十分の一位になってしまったのも需給のバランス関係からです。水盤価格についても、水石人口の減少と大家と呼ばれている人達の相次ぐ売り立て等により、供給圧力が強まっている事から、価格も安くなってきて、物にもよりますが最盛期の数分の一から十分の一位まで価格が下がったのは、これから始めるような人には、かなり良い環境となってきています。おかげさまで、絶対に買う事はできないだろうと思っていた水盤なんかも、かなり安価に入手することができるようになり、この傾向は僕としては大歓迎しています(笑)

蛇足ではありますが、水盤も大型鉢も最盛期よりはかなり安くなっていますが、価格の下落率で見ますと高価な物(高価だった物)ほど価格は下がっていて、普及品的な物はあまり(もしくはほとんど)価格が下がっていないというのも不思議な現象で、例えば丸善の白磁水盤などは最盛期には尺五寸物で15000円~20000円程度でしたが、現在でも10000円~15000円程度と、それほど下がってはいないのですが、中国の白交趾水盤は、最盛期ですと最低でも50万円、均釉水盤に至っては、最低でも100万円ほどしたものが、今ではその三分の一とかそれ以下位ですから、高価な物ほど下落率は高くなっているのが面白い現象です。これにはいろいろな理由があるのですが、ここではあえて触れないことにします

割高感のある小鉢ではありますが、小品盆栽をやっている人であれば小鉢を使わなければなりませんので、鉢を求めなければなりません。そこで、どのような鉢を求めるのが良いのか少し考えてみたいと思います

人気があり高価な作家物・絵鉢などは、真っ先に除外されます。東福寺を1枚買うのなら割安感の高い支那鉢を数枚買った方がはるかに良さそうですし、自分で楽しむだけの人なら少し古めで盆栽屋さんの棚隅に放置されているような少し古めの新渡鉢や古めの常滑鉢で充分でしょう。もちろん、作家さんの新しい鉢でもまったく問題はありません。前述したように本体(胴)と足のバランスが良く、釉薬の良い鉢さえ使っていれば、盆栽と渾然一体となって樹を引き立たせる事ができますので、このような鉢を求めると良いのではないかと思っています

そうは言っても、盆栽を続けていきますと良い(高価な)鉢を欲しくなってくる人もいます。このような場合に注意したいのは、鉢の真贋もさることながら、一番大事なのは「その作家らしさ(特徴)を備えている」鉢を購入する事をお勧めします。展示会などで鑑賞する場合は、鉢底の落款を覗き込む人はいませんので、落款を見なければ判断できないような鉢では、極端に言えば無価値に等しいようなもので、誰が見てもすぐにその作家だとわかるような特徴を備えた鉢の方が一般受けは高いものとなるのは言うまでもありません

もちろん、さらにその上を行き、一部の通人にしかわからない鉢を使うというのも楽しい事なのですが、地方の小さな展示会では、あまり意味をなさないかもしれません(笑)

それと鉢を語る上でついて回るのが「真贋問題」でしょう。東福寺はその筆頭でしょうが、1万円以上するような鉢であれば他にもあるのはどの世界でもまったく同じ、本物もあれば偽物もたくさん流通しています。偽物がまかり通っているのは好ましい事ではなく、排除できれば良いだろうとは思いますが、それは不可能なことで、どの世界も同じに偽物とつきあっていかなければならないのは世の常とも言えます

では、どのようにして偽物と付きあえば良いのかということになりますが、一番簡単なのは真贋を見極める目を養うという事になるのですが・・・正直なところ、そこまでしなくても良いのではないかとも思っています。僕の考えは前述したように「小鉢は高い」という基本認識を持っています。本物の東福寺だったら10万円はくだらないといような鉢があったとして、それくらいの鉢なら偽物でも数万円はするはずですが、本物でも偽物でもそれだけの価値を見いだす事ができれば良いだけの事であって、本物だったら10万円、偽物でも数万円の価値を見いだす事ができる人だけが入手すれば良いだけの事す

時に偽物を掴まされて怒る人がいて、業者や業界を批判するような人もいますが、その鉢に対してその価格で納得して購入したのならば、ちょっと見当違いのようにも思えます。型物の量産鉢ならともかく、手作り鉢は一品一品の出来により価格が違って当たり前にも思えますので、何はともあれ、納得して購入したのなら、ある程度は仕方がないことでもあります

日本人は昔も今もブランド志向的なところがあって、鉢においても、「本質」ではなく「作家(ブランド)」指向だけで購入していますと、このようなつまらない詐欺に引っかかってしまうのでしょう。このような詐欺的行為に引っかかってしまう人は、得てして「ブランド指向」とか「ひょっとすると儲かるかも」などのような、数寄的精神が薄い人が多いように思えます

鉢選びについても、卓選びと同等に自分の審美眼に従って購入するのが、何と言っても一番という事になります

贋物と言えば有名なのは、ご承知のとおり絵画の世界でして、「お化けと応挙には一度会ってみたい」という言葉があるように、丸山応挙の絵には本物1枚に対して、贋物が数千枚はあるとされるほど贋物ばかりの世界です。もちろん、贋物として作られた物もあれば、絵師の勉強のために模写された物まであり、真面目な贋作から嫌らしい贋作まで多数あり、価格もピンからキリまでで、本物なら数千万円、贋物は絵のクラス(出来映え)によって数千円から数万~十数万円といったところでしょうか。贋物を見たからと言って騒ぐ人はいませんし、贋物は贋物でそれなりに楽しんでいる人が多いのも絵画や骨董の世界です。いずれ鉢の世界も、このようになるのではないかと思っています。そうすれば、鉢に対する評価も変わってくるのではないかとも考えています

鉢の裏を見て、足の形が良くない・こんな落款はおかしい・釉薬がイマイチ・足の付け方が違うなどのほんの微細な部分でやれ本物だ偽物だと騒ぐのは、鉢コレクターさんにお任せしておき、普通の人は、自分の信じた(目にかなった)鉢を使っていれば良いのではないでしょうか。もちろん、贋物であっても出来が良くて安ければ(相応の価格)、それを使うのも良いでしょう。普通の家に応挙の真作があるはずはないのですが、それはそれで楽しめれば良いだけの事です

いずれにせよ、鉢にこだわるのは良い事だと思うのですが、鉢の評価を「作家(ブランド)」や「世間の評価」だけに頼ることなく、自分の審美眼に沿って使う事の方が無駄な楽しいのではないでしょうか

「贋物でも、本物と見分けが付かなければ本物で通る」ということが、どの世界にもあります。少し古めの新渡の中国鉢や常滑などでも作りが良くて、時代の乗った鉢などは、いわゆる「中渡り鉢」と、土目・出来映えなどの区別が難しい物もたくさんあります。このような鉢などは、鉢穴の開け方や足の付け方、ヘラ目などの微細な違いだけで、中渡り物と区別をするのが難しいのにもかかわらず、その微細な違いと新渡というだけで安価に販売されていたりしますので、鉢のコレクターならともかく、普通の趣味者であれば、こんなものでも十分ですし、このような鉢は良い鉢と言える見本かもしれません

価格は十分の一でも、『樹を活かすという』事で同じくらいの働き(機能)であれば、安いに越した事はありませんから、そのような鉢を探すのも楽しみの一つともなります

もちろん、銘樹に合っている銘鉢を取り合わせれば、良い物になることは言うまでもありません。要は鉢や樹が泣かないようにすれば良いと言うところではないでしょうか。そして余裕がある人は、さらにワンランク上の鉢を使えば良いだけなのかな・・・・・
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by haruka000s | 2008-03-03 23:13 | その他  

卓について

最初は卓について、少し書いてみたいと思います。すでに卓については下記のように書いてはいますが、これは水石向けの卓についての記述であり、盆栽向きの物とは違います

http://suiseki.fc2web.com/dougu/syoku/index.html

卓には水石向けの物と盆栽向けの物がありますし、両方に使える物もあったり、また、両方に不向きな卓もあります。ここでは盆栽向けの卓についてや、卓の価値などについて少し書いてみたいと思います

まず、盆栽向けの卓についてですが、懸崖用の高卓や中卓、平卓などが良く使われていて、甲玉透かし机卓のようなシンプルな物から、前面や鰭部分に飾りが付いた物までさまざまなものが使われています。ちょっと高さのある中卓などは中品盆栽の飾りに使われているのを良く見かけるのが、近年の卓事情ではないでしょうか

最初に、盆栽向けの卓とはどのような物なのでしょうか? このあたりから書いてみたいと思いますが、卓とはただ盆栽を載せるだけの道具ではなく、できれば景色感をも創出してみたいものです。そのため、樹形に応じて卓を使い分ける事が大事だと思っています。具体的には次のとおりとなります

高山・岩場等の樹形  懸崖・半懸崖・播幹・石付き
山岳地・山地の樹形  半懸崖・播幹・根上がり・石付き・吹き流し・直幹・斜幹
平地の樹形      模様木・直幹・斜幹・文人・寄せ植え

このように樹形に応じて現されている景色が違いますので、その景色に応じて卓を使い分けることにより景色感を創出する事ができます。模様木や文人のように平地の景色しか現せないものもありますが、大部分の樹形では複数の景色を現していて、この景色に応じて卓を使い分ける事が最初の段階になります。これを簡潔に纏めますと次のようになります

高卓  懸崖・半懸崖
中卓  半懸崖・播幹・吹き流し・根上がり
平卓  模様木・直幹・斜幹・寄せ植え・吹き流し・根上がり
地板  文人・寄せ植え・吹き流し

概ねこのような感じでしょうか。吹き流しや根上がり樹形については、複数の卓を使って良いと思いますが、これは、それぞれの盆樹の醸し出す雰囲気や樹形のバランスによって使い分ける事になります。このあたりが、卓使いの基礎となると言っても良いでしょう

たまに、中卓を使って模様木・直幹・文人などを飾っている人を見ますが、これではバランスが悪いだけでなく、平地にある樹木を仰いで見るようになってしまいますので、とても好ましいものではありません。平地にある樹形はどっしりと構えて飾ったり見た方が数段良く、自然に目に入ってきますし、重量バランスも優れているし、実景の景色感にも通じてきて良いものになってくるのです

盆栽をただ陳列するのであれば、どのような卓を使っても問題はありませんが、良く見せるのには卓の種類選定が最初の重要ポイントになってきます

人によって好みの樹形もさまざまですから、まずは飾って見たい樹の樹形に応じて卓の種類を選定する必要があります。僕の場合は、文人調や寄せ植えがメインですので、平卓と地板さえ有りすれば足りてしまいますので、この点は楽です(笑)。いずれにせよ、ほとんどの方は平卓使いが中心になってくるのではないかとも思っています

中卓と平卓の分かれ目が微妙になってくるのですが、中卓は正座した時に膝が入る高さのバランスの物が中卓とされ、それ以下のバランスの物が平卓と呼ばれています。つまり、平卓でも薄平卓と呼ばれている低い物から、中卓に近い平卓までありますが、やはり使いやすいのは低い物で、あまり高さのある平卓はある面使いにくい部分があります。水石には中卓に近い平卓は非常に使いやすいのですが、盆栽の場合は、まったくそれとは反対になってしまい、普通の模様木を載せるには少し高いかなと感じてしまったりするので、結局は中卓と同じようにしか使えないからです

高木盆栽美術館にあり五葉松で有名な「日暮らし」という盆栽がありますが、この樹は、しばしば小川悠山の卓に乗せられています。盆樹も卓も超一流なのにもかかわらずあまり合っていません。これは卓の高さが高めなのが原因で、半分くらいの高さの卓にのせればさらに良くなるはずです。名品と名品を取り合わせたからといって、必ずしも良い飾りになるわけではないのも、これだけでも良くわかります
ちなみに、悠山作のこの卓は、恐らく日本で一番高価な卓で4000万円程で取引されたように記憶しています

それはともかくとして、次は装飾等についてです。水石向きの卓は華美な物はまったく似合いませんが、松柏のように力強い樹には、シンプルな物よりも良く似合います。雑木盆栽には華美な装飾ですと樹が負けてしまう場合が多々ありますので、雑木をのせる時はやや弱めの卓を使う事が肝心です


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装飾が無かったり少ないようなシンプル系の卓であれば、天板が厚い物や喉付きタイプのように厚さを感じさせる物が盆栽の強さと良くマッチしますので、シンプル系が好みの人は、喉付きタイプを使うと良いかもしれません
写真の卓は、喉付きではありませんが、渡された装飾飾りにより天板部分が厚く見えるタイプです。水石でも使えないことはありませんが、ややボテってしまいますが、盆栽なら松柏や雑木どちらも似合います


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箱卓や達磨卓と呼ばれている卓は、シンプルながらも力強さも備えていますので、力強い松柏から優しい雑木まで幅広く使える万能卓と言えます
この卓も盆栽・水石兼用といえますが、盆栽なら何でも大丈夫ですが、水石でしたら水盤飾りではなく、台座石と合わせると良く合います(下段の桟が少しうるさいですね)


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天拝型の卓については、想像以上に弱い卓ですから、盆栽にはあまり向きません。特に天拝型の中卓に至っては、のせる事ができる樹を見つけるのが難しいくらいで、薄めの平卓であれば細身で優しい雑木盆栽とは良く合ってきます
ここまでの高さがありますと、まず盆栽には似合いません。このように瀟洒あるいは華奢な卓は水石専門卓といえます


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洒脱な雰囲気を感じる斑竹の卓なども、基本は優しい卓ですので、雑木盆栽が主で松柏なら細身の樹でなければ合わない卓とも言えますが、まあ雑木専門卓と考えて差し支えないでしょう
この卓などは、総斑竹の卓ですので、ごつそうに見えますが、想像以上に優しいので、水石との相性はかなり良いです。これで2枚目のような平卓でしたら、雑木盆栽も飾れるのですが、1枚目の中卓ですと、ちょっと合う盆栽が思い浮びません


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この卓も、出来自体は非常に素晴らしく、中央部には柘植の装飾があったりと、卓自体は品の良いものなのですが、天板の下部に厚みが出てしまうため、水石との相性はもう一歩と言うところで、盆栽を飾るともっと映えますので、どちらかというと盆栽向きです


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これは良く見かける算木の中卓です。盆栽・水石兼用卓みたいなものですが、どちらかというと盆栽に軍配が上がります

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とりあえず手持ちの画像で、簡単に解説してみましたが、要は平卓系統で、天板部分が少し厚めの物が盆栽向けという事になります

この「少し厚め」というのは、装飾でもかまいませんし、喉付きや算木、あるいは桟が回された物でも同じで、そのような物と合わせますと、盆栽の重量感と卓の重量感(強弱のバランス)が整って良くマッチする事になります

ちょっと専門的になりますが、本当に良い卓とはどんなものか考えてみたいと思います。卓などを作る指物師としてこの世界で有名なのは、小川悠山・日比野一貫斎・葛木香山・白井潤山・金子一彦・本郷寿山などが良く知られていますが、彼らの作った卓がすべて盆栽や水石向きの良い卓とは言えず、作品自体の出来映えは芸術品と呼べるほどの素晴らしい物であっても盆栽向きとは限りません。観賞用とするのなら別ですが、実用に供したい場合は、やはり作者の名前や世間の評価などに囚われることなく、自分自身の審美眼に添った物を使うのが、トータルバランス的にも良いと思います

卓を使うのは、これまで盆栽水石界がメインだったのですが、バブルの崩壊・高齢化・趣味者の減少等で、価格自体もかなり下がっていますので、現在は、良い物を安く購入できるチャンスかもしれません。本格的に取り組みたい人には良い時代のようにも思っています

今後は、中国や古美術界で卓の需要が広まっていくはずですので、価格は上がっていくようと思っていますので、僕も機会とお金があったら、良い卓を欲しいのですが、現状では無理かな(笑)

ちなみに、僕の持っている物で高価な卓(10万円以上)は2台あります。2台とも斑竹が象眼された卓で、自分で言うのも何なのですが、まあまあの卓で、いつかは紹介できると思います。残りの卓は、ほとんどが1~3万円くらいの普及品的な卓が多いのですが、自分なりに厳選して求めたり、使うようにしていますので、自分自身の審美眼は出ているかなとも思っています

もう少し簡潔に書ければ良かったのですが、ダラダラと長くなってしまい申し訳ありませんでした
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by haruka000s | 2008-03-02 23:52 | その他