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赤松実生-2

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今回は、3~6年目の作業を少し紹介します

基本作業は、前回とさほど変わりが無く、針金は食い込んだらはずして掛け直すだけですし、秋から冬にかけては、不要な芽を掻き取りながら、自分の望む長さや太さに達したら、いよいよ盆栽化に向けた本格的な作業開始です

これまでは、あまり楽しい作業ではなかったのですが、ここからは、1年毎に盆栽に近づいていきますので、作業も楽しくなります(笑)。まず最初の作業は、幹を思い切りよく切り飛ばすことから始まります

好みの長さや太さに達しましたら、前年の秋までに伸びた芽を1~2cm残しておき、幹を切断することになり、これは秋から冬にかけて行います。切るのは幹だけで、周囲にある葉はすべて残しておきます。そうしておきますと、残しておいた葉元から春になると、新芽がたくさん吹いてきますので、それらを利用して樹芯にしたり枝を作っていくのです

1枚目の写真は黒松ですが、幹の太さが僕の希望まで太ったので、昨冬に樹芯を切り飛ばしたものです。この写真は、春先に撮影したもので、何本もの芽が吹いているのが写真でもわかると思います。これらで樹を作っていくことになります

写真中、右に赤い矢印で示してあるのは、犠牲枝を切除した跡です。左側に赤で芽の様に書いてあるのは、これくらい芽が伸びていたというもので、2cmほどをのこして切り飛ばしてあるのがわかります

青い線で示してあるのは、その前の年に伸びた芽で、切除した残りの部分です。このように前年の芽を少し残しておきますと、コケ順が良くなるからです

根の部分も注意して見ますと、ちょっと根が捩れたようになっていますが、これは「根芸」を少しつけようと思ってしたことで、根芸を持つ変わり木の雰囲気が、これである程度わかると思います


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2枚目の写真は、現在の姿です。このまま、枝を剪定してつくっていく事も可能なのですが、この樹の場合、樹勢もかなり良いですので、芯だけはもう一年伸ばしておいてから再切除することにしました。枝については、そろそろ作っていきたいので、適当な長さに剪定しておき、来春伸び出した枝を使っていきます


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3枚目の写真は、3年生のミニを狙った赤松です。この樹は、10cm前後のミニにでもしようかと思って作っているものです。ミニとは言え、作り方の基本は、まったく同じです

ただ、この樹が他の樹と作り方が違うところは、樹芯を止めずにそのまま作っているところにあります。この樹は、実生3年目で幹の太さはタバコを少し太らせたくらいです。細幹好きとは言え、ミニサイズで細幹としてしまいますと、誰が見てもただの「苗」にしか見えませんので、このような樹は細幹にはせず、ある程度の太りを得るようにして、樹全体のバランスができるだけとれるように作るようにしています。松類は葉が長く、いくら短葉法をかけようとも、10cmサイズで細幹は絶対に似合いません。ですから、もう少し太味を得ようと樹芯を伸ばしておくようにするのです

写真の手前に途中から切断してある枝がわかると思いますが、この枝が将来の樹芯になるよう予定していて、残してあります。今春に先を切除してあり、新芽が3本ほど見えていて、これが将来の樹芯と枝になっていく大事な芽で、この一枝から盆栽に仕立てていく予定です

今冬には針金を掛けて再度整枝する予定で、もう1年間現樹芯を引っぱっておけば、幹の太さもちょうど良くなると思います。これでほぼ素材として使えるようになりますので、あとは、盆栽作り作業や管理になってきますので、この先は、プロや先輩の方に聞くなり、本で勉強すれば良くわかることと思いますので、ここでは省略します

いままでの写真を見てもらいますと、実は、その他にも僕オリジナルの作り方が見え隠れしていることがわかりますが、一番はポリポットを多用しているという事でしょうか。これには、いろいろと理由があるのですが、基本的には、鉢中の温度を上げるためにポリポットを使用しているという事が最大の理由です

それと、ポットの大きさも、だいぶマチマチになっているのがわかり、黒松のポットなどは大きすぎると思うほどですし、赤松のポットについては、2号のポットに2本も植えてあります(笑)

黒松については、少し大きめに作ろうと思ったから、かなり早い段階でこのポットに植え替えて作っていて、今年で4年になります。赤松については、2本ともミニサイズにしようと考えていたので、少々締め気味に作ろうということと、置く場所の問題もあって、1ポットに2本植えてあります

黒松については、来春に仕立て鉢(駄温鉢)に植え替えて管理をするようになります。これは、現状のままですと、樹勢が強くなりすぎますので、樹勢を抑えるためと本鉢に植えるため根の整理をするものです。ですから、仕立て鉢に入れますと、なんとなく盆栽っぽく見えるようになります(笑)

赤松については、もう一年このポットで育成することになります。こちらは、まだまだ樹勢をつけておきたい状態なので、あんまり根をいじりたくありませんので、少々窮屈そうではありますが、もう一年このままの状態にして、翌年になったらそれぞれ仕立て鉢に植え替えて素材の完成になります

ここまでは、実生からミニや小品を作る方法を書きましたが、実生からおおよそ6~8年もあれば樹姿はほぼ完成し、あとは持ち込むだけになります。この間、管理の方法で注意したい事が一点だけあります

それは、芽切りをしない事です。太くしっかりとした模様木の松であれば、芽切りをしながら枝を増やしたり短葉にして鑑賞することになるのですが、ミニや小品で細幹の樹を目指すのであれば、芽切りは厳禁で、ほとんど芽切りはしてはいけません

芽切りにも功罪があり、功の部分は、短葉になったり枝が増える事で、悪い事などないように思えますが、一番の罪は枝が太くなってしまうことです。芽数が増えてしまいますと、枝がどうしても太ってしまいます。枝があまりに太ってしまいますと、細幹の趣(おもむき)がガクッと落ちてしまいますので、枝については、なるべく太らせない管理が必要になってきます。そのための方法の一つとして芽切りをせずに、芽数を調整することがあります。それに、細幹で、たくさん芽をつけてもただ五月蠅いだけですから、仕上げが近い段階になってきましたら、芽数に注意しながら育成すると良いと思います

今回は、ミニや小品を作るためのものなので、比較的早く作る事ができますが、少し大きめの樹を作ろうとしますと、素材を作るだけでも、やはり相応の年月は掛かってしまいますが、これは仕方がありません

大きめの樹を作りたい方もいると思いますので、そのために注意すべき事を次回にでも少し書いてみます
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by haruka000s | 2007-10-31 23:25 | 木作り  

赤松実生-1

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実生や挿し木から盆栽を作るのには、最終目標サイズが大切になり、小さな物を作るのか?大きなものを作るのか?によって、育て方はまるっきり変わってきます

赤松にしても他の樹にしても、実生から大品盆栽を作ろうと思うと、かなりの年数が掛かってしまい、とてもそんな気にはなりませんので、実生や挿し木から作る場合は、小品から中品までと決めています。今回の赤松実生作りについては、小品サイズを作るということで、話を続けてみたいと思います

前回は、1年目の管理まで書いてみました。初年度の管理は、種を採種して実生し秋まで肥培するだけの簡単なものでしたので、今回は、その次の作業について書いてみたいと思います

実生する場合は、大きめの鉢や発泡スチロールの箱などに、適当に蒔くだけで良く、一年間はそのままにしておき、秋になったら、今度は1本ずつにし、直根を切って鉢あるいはポットにとる事になります。翌春に鉢あげをしてもかまわないのですが、できれば秋のうちに鉢にとりたいものです

なぜ秋に植え替えるのかと言いますと、植え替え時には、必ず直根を切って植え替えをしますが、秋のうちに植え替えをしておきますと、たとえ少しでも根が伸長したり、新しい根も生えてくるからです。そのようにしておきますと、翌春になっても、最初からすぐに肥培する事ができるようになるからです

ところが、翌春に直根を切って植え替えたとすると、その時点から、根が伸長したり、新しい発根を待っていたのでは、肥培時期が遅れてしまいますから、その分、生育が遅れてしまうのです

そのため、面倒でも9月中くらいに植え替えを済ませておきますと、10~11月くらいに新しい根が発根したり、古い根も元気に伸びているからで、翌春には、最初からガンガン肥培をする事ができるからです。前回には10月一杯まで施肥と書きましたが、これは、少し大きめの樹を作るときの場合で、小品にする場合は、秋に植え替える方が良いです

前年の秋と翌春とでは、ちょっとした違いではありますが、その後の生育にはかなりの開きが出てしまい、2年目の秋になりますと、1.5~2倍くらいの違いになる場合もありますので、初年度は秋の植え替えがベストでしょう

植え替えについては、2号の鉢かポットで、用土は赤玉でも砂単一でも混合でも、水捌けさえ良ければ何でもかまいません。僕は、硬質赤玉単用がメインで、腐葉土を少し混入させておきます

秋に植え替えをしたものであれば、春先からガンガン肥培するだけで、10月までしっかり肥培をしておきますと、成績の良いものは15~20cmくらいまで伸びると思いますので、これくらいになりましたらいよいよ最初の曲付けをすることになります

ここからは、どれくらいの大きさにするのか? 樹高? 太らせたい太さは?・・・等によって、管理方法は若干変わってきますが、小品で20cmほどの樹を作るのであれば、強めの曲を付けるようにします。強めの曲をつけておきませんと、樹が太ったときに曲が消えてしまう場合もありますので、自分が想像している以上に曲を付けておくと良いでしょう


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ちなみに、最初の写真は実生3年目の小苗です。あまり生育が良くなかったので3年目に曲を付けます。2枚目の写真は、その苗に曲をつけたもので、まあ、このあたりは、もっと強い曲を付けても良いですし、ゆるく付けても良いのですが、針金を幹と一緒に捩りながら曲を付けるのがコツと言えばコツです。そうしておきますと、将来、もっと曲げたいときなどは、幹を捩っておきますと、かなり太くなってからでも曲げることができるからです(これは、どの木でも同じですね)


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それと、これはオリジナルの作り方なのですが、芽の整理も秋のうちに済ませてしまいます。松は、すでに来春の芽が出ていますので、芽を整理する事とは、不要な芽を今のうちに掻き取っておくことで、基本は芽を2つにしてしまいます。芽をたくさん残しておけば、樹の太りは早くなるのですが、松の場合は、車枝になって芽が伸び出しますので、すぐに枝元だけが太くなってしまいますので、それを避けるためにも、幹にする場所については、できるだけ早く不必要な芽を掻いておきますと、将来綺麗な丸幹にできる確率が高いからで、芽の部分を幹にしない場合は、この限りではありません

僕の場合は、この芽欠きをだいたい2本にしてしまいます。芯の1本は幹にするから残しておきますし、横芽を一つだけにしておき、これは犠牲枝にしておき、太りを得るためにだけ残しておくのです。1~2枚目の写真を見てもわかるとおり、前年も芽を掻いて1本にしてあり、この枝は、2年後くらいに切除する予定です


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3枚目の写真は、芽欠きをする前のもので、芯の芽の他に4本の芽があるのがわかります。4枚目の写真が芽欠き後で、芯の1本と横芽1本だけにしてあります。(横芽の芯の緑が少し見えていますが、これは指でつまんだだけですので、このようになっていますが、この後、ハサミで切りとります)


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このようにしておき、作業が完了すると思いきや、この時さらにもう一つの作業を行うのですが、それは根張り作りの第一歩です。1~2枚目の写真を見比べてもらうとわかるのですが、用土が1cmほど減っているのがわかると思います。写真ではわかりにくいとは思いますが、この時点で根の様子を見るとともに、根張りを作っていくためにも、根元を少しずつ陽に晒していくことします。そうしておきますと、根肌が早く良くなるだけでなく、根も発達して生育が良くなるからです

また、直根を切ってあるからと言って、必ず良い根張りになるとは限らず、なかには片根状のものや、写真のように数本の太根しかないものもしばしば出てきます。この時点で、僕の作る赤松の将来は決まってしまい、片根状のものは「根芸」を作る変わり木や根上がりに、太く数が少ない根を持つものは「石付け」になってしまいます(笑)

これは、幹と根のトータルバランスを考えた上の措置でして、そのように作った方が、それぞれの持ち味を活かすことができると思っているからで、片根状のものや数本の太い根を持つもので、模様木や文人を作っても似合いませんので、この時点で、その特徴を活かすようにしてしまいます(笑)

ですから、5枚目の写真の樹は来春には石に付けられてしまいます。そのための準備というわけではありませんが、今のうちから、これくらい根を露出させておくのです。このようにしておけば、「おっ、これは石付け用の苗だ」と一目見てわかるからです(笑)。もちろん、土中の根の状態如何では、石付けではなく根芸を作る樹になってしまうかもしれませんが、間違いなく普通の文人にすることはありません

このような感じで、2年目もしくは3年目の秋の作業は完了です。樹が小さいですから、1本行うのでも10分もあればできてしまうほど簡単な作業です

ちなみに、30cm以上の樹を作るような場合は、最低2年間以上は直根を切らずに、伸ばしっぱなしにしておき、2年目の秋に直根を切ってゆるい曲をつけると良いと思います
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by haruka000s | 2007-10-29 22:38 | 木作り  

赤松実生

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今年は、久しぶりに赤松を蒔いてみようかなと思って、松毬(松ぼっくり)を採ってきました(正確には来春蒔くのですが)

先日、知り合いの素材屋さんと話をしていたら、主人が「今度は赤松を少し作りたいのだけど、松毬をかき集めてきても、なかなか種が入っていなくて、仕方がなく実生苗を採ってきて作っているんだけど、半分くらいは枯れるし、おまけに成長は良くないしで、なかなか上手く作ることができない」ということで、赤松の作り方を、少し教えてあげました

そのような事もあったり、手持ちの赤松も少なくなってきたので、再び実生をする事にしました。ご承知のとおり、赤松は挿し木が効かないので、実生か山取りから作るしかありません。山取りで作るのにしても、そこそこの木を山取りするのなら、山の所有者の許可をもらわなければなりませんし、活着させるのも難しいことから、山取りと言っても、どうしても山実生(小さな苗)を採ってきては、そこから作り出すことになります

普通であれば、山実生を採ってきて育てる方が、実生よりも早く盆栽になりそうに思うのですが、小品盆栽を作るのであれば、実生から作る方が圧倒的に早くできる・・・というのが、僕の経験則です

前述の素材屋さんは、「山実生から育てるとタバコの太さにするまで、5~6年はかかり、これが短縮できると良いと思うのだが・・・」と言うので、『それなら実生からでも2~3年あれば、タバコの太さくらいじゃあ、簡単にできるよ』と、実生作りのノウハウを少し伝授したのです

そのようなこともあり、今回は実生からの赤松作りについて、少し書いてみたいと思いますが、まずは種子の採種からになります

赤松の種子は、松毬の中に入っているのですが、松毬が落ちたり、松かさが開いているのを待っていては、種子を採種することはできません。松毬がまだ青いうちに採ることが肝心で、青い状態のまま採っておいて、自宅で保管して採種することになります

写真の松毬は、少し前に採取してきたものです。一番左は少し傘が開き始める状態のもので、真ん中のものは、やや茶色がかかってきた状態のもの、右のものは、まだ青々とした状態のものです。どれが一番良い状態か?・・・と聞かれると、なんとなく真ん中か左のような感じに思ってしまうのですが、実は、どれでも同じなのです(笑)つまり、かなり青い状態のうちに採ってきても採取することは可能なのです

こちらでは、9月の下旬くらいから10月下旬くらいの間であれば、何時採ってきても大丈夫で、11月に入ってしまうと、傘が開いてしまい、せっかくの種子もすぐになくなってしまいます。ですから、今の時期が松毬の採取には、ちょうど適期になります

これくらいの状態のものを採ってきたら、あとは、そのまま保管しておくだけで、勝手に傘が開いて、中に詰まっている種子を採取することができるのです。ですから、採ってきた松毬については、家に持ち帰ったら、ビニール袋に入れるなり、箱に入れるなりして保管をしておけば、その中で、勝手に傘が開き中から種子が飛び出しているという寸法で、かなり簡単に採種することができるのも嬉しいですね

ちなみに、僕はビニール袋に入れておくだけで、暮れくらいになったらその袋を開けてみますと、適当に種子が傘から飛び出していますので、そのまま採り蒔きしても良いですし、春先まで保管しておき、3月くらいに蒔いても、結果はほぼ同じです

そして、初年度については、そのままの状態で過ごさせることになります。もちろん施肥も行いますが、施肥については5月末くらいから10月一杯まで、真夏の一時期だけを除いて行うだけです。一年目の作業は、わずかこれだけです(笑)

なかには、豪快な模様木を目指して、軸切り挿し芽を行う人もいるようですが、僕の場合は、その必要はありませんし、何よりも面倒なので軸切り挿し芽は行っていません
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by haruka000s | 2007-10-24 23:52 | 木作り  

シンパク彫刻

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シンパク・トショウ・イチイなどのような松柏類では、野生状態では枯れてしまった部分が白骨化してジンや舎利などと呼ばれていて、厳しい自然界のなかで生き抜いてきた様が大きな見所になっています

山取りですと、自然のジンや舎利を備えている物がありますが、そのような素材はだんだん少なくなり、挿し木などで増殖している素材でも、その厳しさを表現するために、人為的にジンや舎利を彫刻しているのはご承知のとおりです

シンパクはその代表格みたいな感じで、丸幹のシンパクなどは皆無と思われるくらいで、必ずや舎利付けがなされていると言って過言ではないくらいです。ですから、ジンや舎利作りというのは、松柏類を手がけている人にとっては、必須の技術となってきているようにも思えます

ジンも舎利も、ただ樹を削れば良いと言うわけではなく、自然さを持たせながら、美しさをも合わせ持たせなければならず、以外と難しいものです。もちろん、自然味があって美しければ良いというだけではなく、その樹と調和していなければならず、樹を活かしているジンや舎利というものが、優秀な彫刻と言えるでしょう

このように書きますと、それほど難しいようには思えないのですが、いざ彫刻しようとすると、意外と難しく、何回も削り直しながら、最終的に仕上げていく事になるのですが、その人のセンスが大きく問われる作業ではないかとも思えます。センスについては、文章で表現する事は不可能ですから、今回は、その作業の仕方について少し書いてみたいと思います。ただ、この方法は、僕独自の物でありますので、他の方がどのような方法でなされているのかはわからないので、この方法が最良とは限りませんので・・・・

僕のやり方は、まず枯れている部分を彫刻刀で粗彫りし、その後、ヤスリで細かい部分を削って舎利に動きを出し、最後に、細かなワイヤーブラシで仕上げるというものです。これを僕の場合は電動彫刻刀で行っています

最初の粗彫りについては、特に技術的な問題はなく、幹味に似合うという事と、舎利に変化と動きが出るように大胆に行う事が良いのではないかと考えています

次のヤスリでの細かい彫刻については、これも丸ヤスリを電動工具につけておこなうことになりますが、ここでは、「緩やかなうねり」や「細かな動き」に注意し、粗彫りした後の舎利を削っていきます。特に、ヤスリの大きさをこまめに替えながら、納得いくまで時間を掛けて削りますと、良い物ができるように思います

最後の仕上げについてですが、これはワイヤーブラシで表面を削るわけですが、大きな樹であれば手で持つブラシで削ることができますが、小さな樹では、上記の工程と同じように電動工具にワイヤーブラシをつけて削る事になります。ワイヤーブラシについては、普通に使うものであれば、大きすぎて細かな作業ができないので、精密模型を作成する時に使う細かなワイヤーブラシを使って、最後の仕上げを行っています

もちろん、いくら精密模型用とはいえ、すべての舎利部分を仕上げる事はできませんので、工具が届かない場所や、生き幹の近くなどは、サンドペーパーで擦る場合もあり、そのあたりは臨機応変といった感じでしょうか

ここで、一番注意したいのは、この最後の仕上げです。この工程で自然味が出せるかどうかが決まってくるからです。天然自然の舎利は、幹や枝が枯れてでき、その大きな特徴は、木目の堅い部分は残り、柔らかい部分は少し凹んでいるような感じになっていることで、いわゆる「うづくり」になっています。これは、木でできた古い板塀や雨戸なんかを見ても同じで、堅い部分だけが少し盛り上がるような形になっていますが、そのように仕上げますと、自然味が出る舎利やジンを作る事ができるのです

ですから、いわゆる『うづくり仕上げ』をすれば良い事になり、一番簡単なのは、木賊や紙ヤスリ(60~240番くらいの物)を使って、木目に沿って擦っていると、柔らかい部分だけが削れ、堅い部分だけが残る事になり、自然らしいジンや舎利になります。とは言え、持っている全ての樹に、このような作業を全て行っているわけではなく、よほど気に入った樹でない限り、最後の仕上げまでは行っていず、ほとんどの樹は丸ヤスリで擦って終わりです(笑)


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この写真は、作業中のもので、丸ヤスリで擦っているところです。このように電動工具を使う場合もあれば、ジン削り用のカマみたいな彫刻刀を使う場合もあります。一部のプロの方は、サンドブラスターを使って彫刻しています。このサンドブラスターを使いますと、簡単に好きなように削れますので、欲しいのですが、高価ですし置く場所もありませんので、あきらめています(笑)
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by haruka000s | 2007-10-21 00:04 | 木作り  

あまんどう

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先日、山に行ったおり、ちょっと珍しそうな柿を見つけました。この柿は、直径が2cm弱くらいの小さな柿で、最初は、これが豆柿と呼ばれている柿なのか・・・とも思ったのですが、葉を見てみると、葉は老爺柿みたいな感じの葉で、普通の柿の葉とはだいぶ様子が違って、なんとも不思議な樹でした

この写真が、その柿の実で、右にある大きい方は、我が家の山柿の実で、小さな方が豆柿の実です。百円玉よりも少し小さめの実になっています

家に帰って検索しても「豆柿」という定義は定まったものではないらしく、地方によってさまざまなものがありすぎて、この樹が豆柿かどうかもわかりません。あるサイトに投稿したのですが、品種の特定は難しそうな不思議な柿です

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しつこく検索をしていると、だいたい2つのパターンに分類されそうな感じということだけはわかりました。一つは、普通の柿と同じ葉でありながら、小さな実がなるものと、老爺柿みたいな感じの葉を持ち、小さな実がなるタイプです。前者については、各地に散見する事ができ、地方名が冠されている種類もあったりします。後者については、琉球豆柿と呼ばれているものがあり、これは生物学的な分類が済まされている柿のようで、独立した種となっているようで、南方系の柿の感じです。この樹は、葉から見ても完全に後者のタイプでしょう

この写真は左が普通の柿の葉で、右の2枚が豆柿の葉です。大きさもかなり小さく、老爺柿みたいな葉であることがわかると思います。大きさもさることながら、特に葉の厚みが違い、この樹の葉はかなり薄い感じになっています

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実成りの様子は、このような感じです。小さく色も薄めですので、遠くからでは目立ちません

この柿の木は、標高約600mの山間集落の近くに生えていて、直径は約40cmくらいで、樹高は10mといった感じでした。遠目では、とても柿とは思えず、これは何の樹だろうと近くに寄ってみたところ、小さな実があって柿の木と判明したくらいで、大きな樹の割にはあまり目立たない樹でした

2回目に訪れた時には、近くで農作業をしている人がいたので、柿の木について尋ねたところ、「この木は、ここらであまんどうと呼ばれている木で、昔は木の実から柿渋を取っていた」ということで、「周囲の木が切られても、この樹だけは残された」そうです

柿渋を取るための「あまんどう」という柿がある事は知っていたのですが、以前に見た木は、実の直径が4~5cmくらいはあったことから、この樹があまんどうとは思えず、恐らく、この地独特の呼び名であろうと思いました

いずれにせよ、このような山間集落で、南方系と思われる柿があるとは、ちょっと驚きで、元々自生していたのものか、はるか昔に誰かが植えたものなのか、今となっては定かではありませんが、面白そうな木ではあります

実が小さいので、大きめの文人には似合いそうもありませんが、小品や小さめの文人を作るのには面白そうな感じなので、時期が来たら実を採取して実生してみたいと考えています

柿渋は、防腐効果が高く、耐久性を上げるために、昔は唐傘などに塗ったり、漁網に染みこませて使っていたりしたようですが、現在では、木材に防腐兼用の塗料として使われるのだけ細々と残り、ほとんど用途が無くなってしまい、この柿も見捨てられたのでしょう。盆栽にすることにより、新たな用途が少しでも出てくると、これも面白い事かもしれません
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by haruka000s | 2007-10-17 23:12 | その他  

ムラサキシキブ

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紫式部というのが面白そうかなと思って、庭木から採取した種子を蒔いて実生苗を作ったり、挿し木した苗で少し遊んでみたのですが、かなり水を好むような樹で、ずぼらな僕には水やりがまったく追いつかず、1年のうちに3回くらいは水切れで全ての葉をふるわせてしまうほどです(笑)

そのため、管理するのが面倒になってしまい、よほど全てを処分してしまおうかとも思ったのですが、ちょっとかわいそうかなとも思い、作春に2鉢に分けて全てを寄せ植えにしてしまいました(笑)。普通なら、単幹の文人にでもしようかなと考えていたのですが、こんなに水を好むのでは僕の手に負えないと判断したためで、これほどまでに水を好きな樹とは思いもよりませんでした
しかし、よく考えてみると、自生している場所は、ちょっと日影でジメジメしているような場所が多いので、柳やエノキのように元々は水を好む植物なのかもしれません

水やりというのも実に面倒くさい作業でして、木を作る事なら好きなのですが、水やりについては、面倒と言いますか苦手なのです。本当は正しい水やりをできることが盆栽管理の出発点にあるのでしょうが・・・・・わかってはいても、ついつい億劫になってしまい、水道ホースを使ってサラッと潅水するだけという感じになってしまいます

そうして、その潅水方法でも耐えられるものだけの樹種がうちの棚に残っていくだろうというのが僕の樹種選択です(笑)。夏場は、だいたい32~33度を超えますと朝夕の2回は潅水しなければならず、それ以下だったら朝だけという感じで潅水はしているのですが、甲府盆地の猛暑とも相まって、夏には必ず雑木類のいくつかと草物を枯らしてしまいます(笑)。特に、今年は猛暑が続いたため草物をかなり枯らしてしまい、少しずつ仕込んでいる最中です

昔も今と同じ感じでして、雑木類は水切れ等で少しずつ枯らしてしまい、それでも元気に残っているのは赤松とシンパクでした。この2種が好きという事もあるのですが、僕の管理方法に合っている樹種ともいえ、棚の主力となっています。とは言え、多少は工夫をしていて、乾きやすい木は一纏めにしておき、そこには常に小さな如雨露を置いておき、乾いたと思ったらひろい水ができるようにはしてあるのですが、夜暗くなってから帰った時などは、早くお酒を飲みたいし、蚊がいる外には出たくないしで、夜の水やりが億劫になったりします(笑)

いっそのこと、自動潅水器でもつけようかなとも思うのですが、庭の隅っこでひっそりと作っているだけなので、それほど大袈裟な施設はいらないだろうと思うし、潅水の面倒くささを考えると、なんとも魅力的で欲しいですし、悩ましいところです(笑)

冬場も、潅水不足で樹を枯らしてしまう事がたまにあります。当地は内陸部の盆地気候のため、「夏は高温多雨で、冬は低温小雨」という典型的な盆地気候にあります。冬場はマイナス10度前後まで冷え込む事もあり、鉢は当然カチカチで夕方にならないと鉢内が溶けない事もしばしばあり、水やりのタイミングを逸してしまう事が良くあります(笑)
朝はカチカチなので潅水しても意味がないし、夜に帰ってきてもすでに凍っている事など、よくありますからいつ水をやるんだ・・・・と真剣に悩む事すらあるくらいです。潅水器があれば4日に1度午後2時から5分潅水とでもセットしておけば、冬場などはかなり楽チンにも思えますが、ホースも凍ってしまうだろうから、使えるかどうかもわからないかもしれません(笑)

となると、やはり目指すのは乾燥に強い樹種の選択というのが、解決作なのかもしれません。やっぱりシンパクとか赤松みたいに暑さにも寒さにも乾燥にも強い樹種だけが、僕に合っているのかもしれません・・・・・

今日の写真は、ムラサキシキブのミニ寄せ植えです。最初は、普通の寄せ植えを作ろうと思って寄せておいたのですが、背丈が20cmを越えるようになったら、毎日、葉が萎れるようになってしまい、このままでは枯れてしまうだろうと思って、切りつめてミニにしてしまいました

それ以来、伸びては切りつめを繰り返していて、とりあえず枯死だけはまぬがれているのですが、はたして、こんな樹が盆栽になるのかと思うと、ちょっと不安です(笑)
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by haruka000s | 2007-10-13 23:23 | 寄せ植え  

小品赤松

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細幹樹が好きなので、文人系統の樹を目指して樹作りをしているのですが、樹も千差万別ですので、どう作っても文人になりそうもない樹もでてきます。また、曲付けの最中に、無理をしすぎて幹を折ってしまうような事も、しばしばあります

そのような樹は、ふたたび復活させるのにしては、時間がかかりすぎますし、なかには、もう文人にすることはできそうもない樹もたまにあります。生育場所も限られていますので、そのような樹は、欲しい人がいれば差し上げたり、処分してしまいます

最近、小品やミニ盆栽が流行していて、なかには、小品やミニとして復活させることもできるような素材もありますので、処分せずに、少し小品やミニでも作ろうかと考えています

先日も、樹芯を折ってしまった赤松が2本もあり、処分してしまおうかと思いましたが、小品として復活させようと、再び針金を掛け替えてみました。写真の樹が、その樹なのですが、樹芯を折ってしまったため、2本の枝と小枝が2本残っているだけとなってしまい、ちょっと迷ったのですが、幹を折り畳んで、小品の半懸崖というか変わり木にしようかと思っています

幹の太さは15mm以上あるのですが、幹が捩ってありますので、これくらい畳み込んでしまう事は、それほど難しい事ではなく、簡単に畳めてしまいます。2本の太枝がありますので、1本は差し枝にして、もう1本は裏から回してきて頭と樹冠にしようかなと思い、針金を掛けてみました

なんともヘンテコな樹形になってしまいました。言うなれば半懸崖の播幹吹き流し・・・といった感じでしょうか? いすれにせよ、ヘンテコな変わり木を目指しています(笑)

この樹の今後ですが、このままの状態で越年させ、来春には、太枝を切りつめて、吹かした芽で枝を作っていく予定で、このポットに植え替えてから、3~4年になりますが、今年くらいから、かなり樹勢が乗ってきていますので、あと3年ほどこのポットのままで作っていくつもりです
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by haruka000s | 2007-10-10 23:04 | 木作り  

盆栽の価格-フジザクラ

水石の価格や道具類の価格については、ある程度の相場的なものはわかっているのですが、盆栽の価格については、ほとんど知りません

僕の場合は、実生や挿し木が中心で、あとは小苗の山取りで作るのがメインで、たまに素材を買う事もあるのですが、作ってみたい樹の挿し穂を調達するためだけです。盆栽のセリも3年ほど前に行ったきりで、ご無沙汰していますので、盆栽の価格というか相場みたいなものには、まったく疎く、時折ネットの通販なんかを見ていますと、「こんなに高いのかぁ」とか「この樹は安いなぁ」と思って見ているのですが、総体的に見ますと、やはり高いと感じる場合の方がほとんどで、相場がまったくわからない事を思い知らされています

特に、ミニや小品で小さく締まった樹などは、驚くほどの価格でして、水石に比べてファン層が広いのと、良い盆栽が少ないのかなと、感じているところです

もちろん、実生や挿し木、小苗から作るのでは、結構時間がかかってしまうものもありますので、素材を購入する事もしばしばあるのですが、そのような場合は、園芸店や森林組合の直売所などで、安価な庭木用の苗を買ってきて作る事が多いです(笑)

少し前にも、近く通る機会がありましたので、森林組合の直売所に寄ってみました。この直売所は、庭木の苗だけでなく盆栽や山野草もたくさん売られていて、以前は庭木がけっこう多かったのですが、今では盆栽や山野草中心になっている直売所です
とはいえ、埼玉や愛知のように、本格的な盆栽素材業者さんが培養したものではありませんので、本格的な盆栽や素材という感じではなく、田舎のオジさんが作っている盆栽という感じのものばかりです(笑)


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でも、僕にはそんな素材でも充分な場合がほとんどで、先日も1m近くあるフジザクラを買ってきました。フジザクラは小枝もできやすく、花も小さく可憐で、小品盆栽向きの樹種ではありますが、中品や普通盆栽となると、ガクッと数が減ってしまうような樹です。大きめの素材自体が少ないのでしょうね

この樹も、根がパンパンの状態で、ポットに植えられており、価格は800円でした。小品盆栽の素材ですと、挿し木して3~4年くらいのものでも1000円とか2000円くらいはしそうですし、自分で作るのを考えますと、800円という価格は、なかなかに安いですし、これから4~5年くらい掛けて小枝を作っていけば飾れそうだと思い購入してきました

とりあえず、極度の根詰まりをしていましたので、軽く根をほぐして植え替えをしておき、針金を幹にだけ掛けたのが、この写真で、もちろん、不要な下枝はすべて切除してあります

かなり根詰まりしていましたので、樹勢は少し落ちているはずですので、来春には本格的な植え替えをして、少しずつ肥培しながら作っていこうと考えています。この樹は、なんとなく良くなる予感がしています(笑)
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by haruka000s | 2007-10-07 21:55 | その他  

実生クヌギ

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今春、庭の隅というか家の脇にクヌギのドングリを蒔いておいたところ、写真のような感じになってしまいました(笑)

地面に直播きしましたので、大きなものは70cmくらいにまで伸びています。とりあえず蒔いてはみたものの、この光景を見ますと、ちょっと反省せざるを得ません(笑)。とはいえ、このようになる事はある程度想定内でしたので、これから、この苗の処分を考えなければなりません

正確に数えてはみませんが、100本近くはあると思います。これだけの量のものを1本ずつ鉢にとっていたら置き場所に困ってしまうのは明らかですので、生育の良さそうな2~3本くらいだけは鉢にとっておき、あとは寄せ植えの小品にでもするしかありません

それにしても、盆栽界ではまったく人気のないクヌギです。パッと見た目では、それほどコナラと変わらないように見えるのですが、コナラの盆栽は数あれど、クヌギの盆栽はなかなか見た事がありません。コナラの枝打ちがクヌギ以上に細かく、クヌギの方が枝が出きにくいという欠点がありますので、コナラの方が親しまれているのかもしれませんが、木肌などを比べますと、圧倒的にクヌギの方が荒れていて良く、コナラと遜色がないどころか、クヌギの方が面白いように思っているのですが、これも、好みの違いといったところでしょうか

いつかは、皆さんを驚かす事ができるようなクヌギを作ってみたいのですが、こればかりは、当分先の事になりそうというか、できないのかもしれません(笑)。それでも、実成りの姿くらいはいつか紹介できたら良いですね
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by haruka000s | 2007-10-04 22:33 | 木作り