2008年 03月 02日 ( 1 )

 

卓について

最初は卓について、少し書いてみたいと思います。すでに卓については下記のように書いてはいますが、これは水石向けの卓についての記述であり、盆栽向きの物とは違います

http://suiseki.fc2web.com/dougu/syoku/index.html

卓には水石向けの物と盆栽向けの物がありますし、両方に使える物もあったり、また、両方に不向きな卓もあります。ここでは盆栽向けの卓についてや、卓の価値などについて少し書いてみたいと思います

まず、盆栽向けの卓についてですが、懸崖用の高卓や中卓、平卓などが良く使われていて、甲玉透かし机卓のようなシンプルな物から、前面や鰭部分に飾りが付いた物までさまざまなものが使われています。ちょっと高さのある中卓などは中品盆栽の飾りに使われているのを良く見かけるのが、近年の卓事情ではないでしょうか

最初に、盆栽向けの卓とはどのような物なのでしょうか? このあたりから書いてみたいと思いますが、卓とはただ盆栽を載せるだけの道具ではなく、できれば景色感をも創出してみたいものです。そのため、樹形に応じて卓を使い分ける事が大事だと思っています。具体的には次のとおりとなります

高山・岩場等の樹形  懸崖・半懸崖・播幹・石付き
山岳地・山地の樹形  半懸崖・播幹・根上がり・石付き・吹き流し・直幹・斜幹
平地の樹形      模様木・直幹・斜幹・文人・寄せ植え

このように樹形に応じて現されている景色が違いますので、その景色に応じて卓を使い分けることにより景色感を創出する事ができます。模様木や文人のように平地の景色しか現せないものもありますが、大部分の樹形では複数の景色を現していて、この景色に応じて卓を使い分ける事が最初の段階になります。これを簡潔に纏めますと次のようになります

高卓  懸崖・半懸崖
中卓  半懸崖・播幹・吹き流し・根上がり
平卓  模様木・直幹・斜幹・寄せ植え・吹き流し・根上がり
地板  文人・寄せ植え・吹き流し

概ねこのような感じでしょうか。吹き流しや根上がり樹形については、複数の卓を使って良いと思いますが、これは、それぞれの盆樹の醸し出す雰囲気や樹形のバランスによって使い分ける事になります。このあたりが、卓使いの基礎となると言っても良いでしょう

たまに、中卓を使って模様木・直幹・文人などを飾っている人を見ますが、これではバランスが悪いだけでなく、平地にある樹木を仰いで見るようになってしまいますので、とても好ましいものではありません。平地にある樹形はどっしりと構えて飾ったり見た方が数段良く、自然に目に入ってきますし、重量バランスも優れているし、実景の景色感にも通じてきて良いものになってくるのです

盆栽をただ陳列するのであれば、どのような卓を使っても問題はありませんが、良く見せるのには卓の種類選定が最初の重要ポイントになってきます

人によって好みの樹形もさまざまですから、まずは飾って見たい樹の樹形に応じて卓の種類を選定する必要があります。僕の場合は、文人調や寄せ植えがメインですので、平卓と地板さえ有りすれば足りてしまいますので、この点は楽です(笑)。いずれにせよ、ほとんどの方は平卓使いが中心になってくるのではないかとも思っています

中卓と平卓の分かれ目が微妙になってくるのですが、中卓は正座した時に膝が入る高さのバランスの物が中卓とされ、それ以下のバランスの物が平卓と呼ばれています。つまり、平卓でも薄平卓と呼ばれている低い物から、中卓に近い平卓までありますが、やはり使いやすいのは低い物で、あまり高さのある平卓はある面使いにくい部分があります。水石には中卓に近い平卓は非常に使いやすいのですが、盆栽の場合は、まったくそれとは反対になってしまい、普通の模様木を載せるには少し高いかなと感じてしまったりするので、結局は中卓と同じようにしか使えないからです

高木盆栽美術館にあり五葉松で有名な「日暮らし」という盆栽がありますが、この樹は、しばしば小川悠山の卓に乗せられています。盆樹も卓も超一流なのにもかかわらずあまり合っていません。これは卓の高さが高めなのが原因で、半分くらいの高さの卓にのせればさらに良くなるはずです。名品と名品を取り合わせたからといって、必ずしも良い飾りになるわけではないのも、これだけでも良くわかります
ちなみに、悠山作のこの卓は、恐らく日本で一番高価な卓で4000万円程で取引されたように記憶しています

それはともかくとして、次は装飾等についてです。水石向きの卓は華美な物はまったく似合いませんが、松柏のように力強い樹には、シンプルな物よりも良く似合います。雑木盆栽には華美な装飾ですと樹が負けてしまう場合が多々ありますので、雑木をのせる時はやや弱めの卓を使う事が肝心です


a0097110_23255092.jpg


装飾が無かったり少ないようなシンプル系の卓であれば、天板が厚い物や喉付きタイプのように厚さを感じさせる物が盆栽の強さと良くマッチしますので、シンプル系が好みの人は、喉付きタイプを使うと良いかもしれません
写真の卓は、喉付きではありませんが、渡された装飾飾りにより天板部分が厚く見えるタイプです。水石でも使えないことはありませんが、ややボテってしまいますが、盆栽なら松柏や雑木どちらも似合います


a0097110_23284536.jpg


箱卓や達磨卓と呼ばれている卓は、シンプルながらも力強さも備えていますので、力強い松柏から優しい雑木まで幅広く使える万能卓と言えます
この卓も盆栽・水石兼用といえますが、盆栽なら何でも大丈夫ですが、水石でしたら水盤飾りではなく、台座石と合わせると良く合います(下段の桟が少しうるさいですね)


a0097110_23321222.jpg


天拝型の卓については、想像以上に弱い卓ですから、盆栽にはあまり向きません。特に天拝型の中卓に至っては、のせる事ができる樹を見つけるのが難しいくらいで、薄めの平卓であれば細身で優しい雑木盆栽とは良く合ってきます
ここまでの高さがありますと、まず盆栽には似合いません。このように瀟洒あるいは華奢な卓は水石専門卓といえます


a0097110_23344656.jpg


a0097110_23375772.jpg


洒脱な雰囲気を感じる斑竹の卓なども、基本は優しい卓ですので、雑木盆栽が主で松柏なら細身の樹でなければ合わない卓とも言えますが、まあ雑木専門卓と考えて差し支えないでしょう
この卓などは、総斑竹の卓ですので、ごつそうに見えますが、想像以上に優しいので、水石との相性はかなり良いです。これで2枚目のような平卓でしたら、雑木盆栽も飾れるのですが、1枚目の中卓ですと、ちょっと合う盆栽が思い浮びません


a0097110_23392640.jpg


この卓も、出来自体は非常に素晴らしく、中央部には柘植の装飾があったりと、卓自体は品の良いものなのですが、天板の下部に厚みが出てしまうため、水石との相性はもう一歩と言うところで、盆栽を飾るともっと映えますので、どちらかというと盆栽向きです


a0097110_23395224.jpg


これは良く見かける算木の中卓です。盆栽・水石兼用卓みたいなものですが、どちらかというと盆栽に軍配が上がります

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とりあえず手持ちの画像で、簡単に解説してみましたが、要は平卓系統で、天板部分が少し厚めの物が盆栽向けという事になります

この「少し厚め」というのは、装飾でもかまいませんし、喉付きや算木、あるいは桟が回された物でも同じで、そのような物と合わせますと、盆栽の重量感と卓の重量感(強弱のバランス)が整って良くマッチする事になります

ちょっと専門的になりますが、本当に良い卓とはどんなものか考えてみたいと思います。卓などを作る指物師としてこの世界で有名なのは、小川悠山・日比野一貫斎・葛木香山・白井潤山・金子一彦・本郷寿山などが良く知られていますが、彼らの作った卓がすべて盆栽や水石向きの良い卓とは言えず、作品自体の出来映えは芸術品と呼べるほどの素晴らしい物であっても盆栽向きとは限りません。観賞用とするのなら別ですが、実用に供したい場合は、やはり作者の名前や世間の評価などに囚われることなく、自分自身の審美眼に添った物を使うのが、トータルバランス的にも良いと思います

卓を使うのは、これまで盆栽水石界がメインだったのですが、バブルの崩壊・高齢化・趣味者の減少等で、価格自体もかなり下がっていますので、現在は、良い物を安く購入できるチャンスかもしれません。本格的に取り組みたい人には良い時代のようにも思っています

今後は、中国や古美術界で卓の需要が広まっていくはずですので、価格は上がっていくようと思っていますので、僕も機会とお金があったら、良い卓を欲しいのですが、現状では無理かな(笑)

ちなみに、僕の持っている物で高価な卓(10万円以上)は2台あります。2台とも斑竹が象眼された卓で、自分で言うのも何なのですが、まあまあの卓で、いつかは紹介できると思います。残りの卓は、ほとんどが1~3万円くらいの普及品的な卓が多いのですが、自分なりに厳選して求めたり、使うようにしていますので、自分自身の審美眼は出ているかなとも思っています

もう少し簡潔に書ければ良かったのですが、ダラダラと長くなってしまい申し訳ありませんでした
[PR]

by haruka000s | 2008-03-02 23:52 | その他