赤松盆栽の部分緑摘み
今回は赤松の「部分緑摘み」について少し書いてみます。部分緑摘みとは聞き慣れない言葉だと思いますが、もちろん僕の造語です(笑)
部分芽摘みとは、呼んで字の如く素材の一部だけを緑摘みするものです。通常、松類の枝作りであっても、ほとんどの場合は、伸ばしっぱなしにしておいた枝などは、切り戻しを行って枝作りを行っていきます。もちろん、その方法で充分作る事ができるのですが、文人系の木を作りたい場合には、時として枝が太くなりすぎたりゴツくなってしまい、文人木に相応しい優しい枝が作れない場合があります
そのため、太くしたくない枝については、部分的に緑摘みを行ってその枝の生育を抑制すれば、枝がゴツくなるのを防ぐ事ができるからです。そうしますと、細く柔らかな枝に仕上げる事ができ、完成時も一味違うものにする事ができるからです
この木は素材として育成中の赤松です。昨年も一部緑摘みを行ったもので、使えそうな枝の伸びと太りは抑えておいたものです。そろそろ作れる状態にはなっていますが、この木は、もう少し樹高を稼ぎたいと考えていますので、もう1~2年伸ばす事にしています
下方にある枝は犠牲枝ですので放っておいて、将来の枝作りに備えて先端に近い上方の枝にのみ緑摘みを行う予定です
作業後の姿がこの写真です。そろそろ枝決めにも備えておきたいところですので、枝候補になりそうな枝の緑摘みを行うとともに、軽い葉透かしも行っておきました
仮に来年から木作りに入るとすると、一年間この枝を伸ばしっぱなしにしておき、緑摘みをした箇所で切り戻して作るのでしょうが、前述したとおり少しでも細い枝を目指していますので、緑摘みにより枝の太りを抑制するというのが主眼になっています。もちろん、枝がまだ細ければ緑摘みではなく、枝の切り戻しをして作っても何ら問題はありません
このような感じで緑を摘んでおきます。一見適当に摘んでいるようにも見えますが、これでも将来の構想を抱きながら摘んでいます(笑)
こちらの木はもう少し進んだ段階の木で、やっと作り始めたものです。小枝を作り始めていますので、このような木は積極的に緑摘みを行うようにしています
これは枝先の状況です。肥培が効いていたため2~4本程度の芽が伸び始めているのがわかると思います。芽切りで芽数を増やす手段もあるのですが、このような感じのものを芽切りしても前年葉の場所に芽を持つだけですから、このような枝では芽切りの効果はそれほどありません
そのため、芽数を2芽に調整して、緑を摘むようにしています。この木の場合は、腕伸びした感じの文人ですので、芽数は少ない方が良いので、芽切りや切り戻しをせず、地味に2芽ずつ作っていくと良いのではないかと考えています
いずれにせよ、伸ばすところはキチンと伸ばし、摘むところはキチンと摘むことで、自分の思った樹形構想に導くことができますので、いたずらに緑摘みをするのではなく、構想を練りながら臨機応変に作業すると良いのではないかと思っています
by haruka000s | 2008-05-12 23:11 | 木作り