赤松盆栽の緑摘み
松盆栽では春先に緑摘みという作業があり、これは芽の力を均一にするためのものです
芽の力を均一にするのが、盆栽としての最終形みたいなもので、剪定・芽摘み・植え替えなどの作業のほとんどは、芽の力を均一化させるためにあるようなもので、強い芽や弱い芽があったりする状態では、葉が暴れてしまいとても鑑賞するのには値しません
雑木類が芽摘みや葉刈りによって葉を揃えるのに対し、松類は緑摘みや芽切りによって葉を揃えるという感じになる作業になります。しかし、注意しなければならないのは、「緑摘み」や「芽切り」だけで芽の力を均一化するというのは不可能で、根本は植え替えにあるのです
樹木というのは、根と地上部が一体化したもので、強い根や走り根ができますと、その根に続く枝が必然的に強くなってしまい、いくら緑摘みをしようが芽切りをしようが、これだけの作業で芽の力を均一化させることは、ほぼ不可能なことで、最終的には根の力を均一化させなければ、芽の力を均一化することはできません
そのため、植え替え時に強い根を切りつめて小根を多く出すようにして、根の強弱の均一化を図るのが第一になり、緑摘みや芽切り作業などはその補助的な作業だけになります。いくら緑摘みを繰り返し行っても根の均一化を図る事はできず、強い根はそのまま残ってしまいますので、緑摘みは補助的な作業程度と考えてください。ですから、実際に緑摘みを行う木は完成木もしくは完成に近いものに対して行う作業となります
この赤松は、4年程前に新たに盆栽を再開する前から残っていたうちでも古手の木で、そろそろ完成に近い木です。ここ4年くらいの間に2回も植え替えをし、細かな根処理を施しましたので芽力(根力)はだいぶ均一化されてきて、このような木が緑摘みの対象になります
緑摘みは、強い芽の先を少し摘んで短い芽と強弱を同じにする事ですが、根を整理を主に行うとともに、冬場の葉抜きと緑摘みを補助的に行っていくと、芽の均一化が図られていきます
松の場合は、ガンガン肥培して芽切りで調整を行う人もたくさんいますが、僕の場合は文人系が多いので完成間近になりますと、芽切りは行わずいわゆる「痩せ作り」で仕上げていきますので、この木もここ2年くらいは無肥料で短葉になるよう作っています(このあたりの仕上げ方が他の人とは違う方法だとも思っています)
この木の場合はほどほどに芽が揃っていますので、摘むような芽は意外と少なくかなり強い芽だけをやや短めにピンセットで摘み取るだけですので、作業時間は5分程度で終わってしまい、作業後の姿がこの写真になります。小さな写真ではどこを摘んだのかわからないくらいですが、これが僕の行っている完成間近な木の緑摘みになります
ですから、僕の場合苗や素材段階程度の木ではほとんど緑摘みは行いません。しいて行うとすれば「部分緑摘み」ということになり、枝を抑制したい場合にのみ行う事としていますが、これについては次回書くようにします
来年も植え替えをする予定で、そうすれば完成という感じです。現在は、かなりきつい斜幹ですので、少し立ち上げて植え替えをしようか検討中です
by haruka000s | 2008-05-11 22:44 | 木作り