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赤松実生-1

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実生や挿し木から盆栽を作るのには、最終目標サイズが大切になり、小さな物を作るのか?大きなものを作るのか?によって、育て方はまるっきり変わってきます

赤松にしても他の樹にしても、実生から大品盆栽を作ろうと思うと、かなりの年数が掛かってしまい、とてもそんな気にはなりませんので、実生や挿し木から作る場合は、小品から中品までと決めています。今回の赤松実生作りについては、小品サイズを作るということで、話を続けてみたいと思います

前回は、1年目の管理まで書いてみました。初年度の管理は、種を採種して実生し秋まで肥培するだけの簡単なものでしたので、今回は、その次の作業について書いてみたいと思います

実生する場合は、大きめの鉢や発泡スチロールの箱などに、適当に蒔くだけで良く、一年間はそのままにしておき、秋になったら、今度は1本ずつにし、直根を切って鉢あるいはポットにとる事になります。翌春に鉢あげをしてもかまわないのですが、できれば秋のうちに鉢にとりたいものです

なぜ秋に植え替えるのかと言いますと、植え替え時には、必ず直根を切って植え替えをしますが、秋のうちに植え替えをしておきますと、たとえ少しでも根が伸長したり、新しい根も生えてくるからです。そのようにしておきますと、翌春になっても、最初からすぐに肥培する事ができるようになるからです

ところが、翌春に直根を切って植え替えたとすると、その時点から、根が伸長したり、新しい発根を待っていたのでは、肥培時期が遅れてしまいますから、その分、生育が遅れてしまうのです

そのため、面倒でも9月中くらいに植え替えを済ませておきますと、10~11月くらいに新しい根が発根したり、古い根も元気に伸びているからで、翌春には、最初からガンガン肥培をする事ができるからです。前回には10月一杯まで施肥と書きましたが、これは、少し大きめの樹を作るときの場合で、小品にする場合は、秋に植え替える方が良いです

前年の秋と翌春とでは、ちょっとした違いではありますが、その後の生育にはかなりの開きが出てしまい、2年目の秋になりますと、1.5~2倍くらいの違いになる場合もありますので、初年度は秋の植え替えがベストでしょう

植え替えについては、2号の鉢かポットで、用土は赤玉でも砂単一でも混合でも、水捌けさえ良ければ何でもかまいません。僕は、硬質赤玉単用がメインで、腐葉土を少し混入させておきます

秋に植え替えをしたものであれば、春先からガンガン肥培するだけで、10月までしっかり肥培をしておきますと、成績の良いものは15~20cmくらいまで伸びると思いますので、これくらいになりましたらいよいよ最初の曲付けをすることになります

ここからは、どれくらいの大きさにするのか? 樹高? 太らせたい太さは?・・・等によって、管理方法は若干変わってきますが、小品で20cmほどの樹を作るのであれば、強めの曲を付けるようにします。強めの曲をつけておきませんと、樹が太ったときに曲が消えてしまう場合もありますので、自分が想像している以上に曲を付けておくと良いでしょう


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ちなみに、最初の写真は実生3年目の小苗です。あまり生育が良くなかったので3年目に曲を付けます。2枚目の写真は、その苗に曲をつけたもので、まあ、このあたりは、もっと強い曲を付けても良いですし、ゆるく付けても良いのですが、針金を幹と一緒に捩りながら曲を付けるのがコツと言えばコツです。そうしておきますと、将来、もっと曲げたいときなどは、幹を捩っておきますと、かなり太くなってからでも曲げることができるからです(これは、どの木でも同じですね)


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それと、これはオリジナルの作り方なのですが、芽の整理も秋のうちに済ませてしまいます。松は、すでに来春の芽が出ていますので、芽を整理する事とは、不要な芽を今のうちに掻き取っておくことで、基本は芽を2つにしてしまいます。芽をたくさん残しておけば、樹の太りは早くなるのですが、松の場合は、車枝になって芽が伸び出しますので、すぐに枝元だけが太くなってしまいますので、それを避けるためにも、幹にする場所については、できるだけ早く不必要な芽を掻いておきますと、将来綺麗な丸幹にできる確率が高いからで、芽の部分を幹にしない場合は、この限りではありません

僕の場合は、この芽欠きをだいたい2本にしてしまいます。芯の1本は幹にするから残しておきますし、横芽を一つだけにしておき、これは犠牲枝にしておき、太りを得るためにだけ残しておくのです。1~2枚目の写真を見てもわかるとおり、前年も芽を掻いて1本にしてあり、この枝は、2年後くらいに切除する予定です


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3枚目の写真は、芽欠きをする前のもので、芯の芽の他に4本の芽があるのがわかります。4枚目の写真が芽欠き後で、芯の1本と横芽1本だけにしてあります。(横芽の芯の緑が少し見えていますが、これは指でつまんだだけですので、このようになっていますが、この後、ハサミで切りとります)


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このようにしておき、作業が完了すると思いきや、この時さらにもう一つの作業を行うのですが、それは根張り作りの第一歩です。1~2枚目の写真を見比べてもらうとわかるのですが、用土が1cmほど減っているのがわかると思います。写真ではわかりにくいとは思いますが、この時点で根の様子を見るとともに、根張りを作っていくためにも、根元を少しずつ陽に晒していくことします。そうしておきますと、根肌が早く良くなるだけでなく、根も発達して生育が良くなるからです

また、直根を切ってあるからと言って、必ず良い根張りになるとは限らず、なかには片根状のものや、写真のように数本の太根しかないものもしばしば出てきます。この時点で、僕の作る赤松の将来は決まってしまい、片根状のものは「根芸」を作る変わり木や根上がりに、太く数が少ない根を持つものは「石付け」になってしまいます(笑)

これは、幹と根のトータルバランスを考えた上の措置でして、そのように作った方が、それぞれの持ち味を活かすことができると思っているからで、片根状のものや数本の太い根を持つもので、模様木や文人を作っても似合いませんので、この時点で、その特徴を活かすようにしてしまいます(笑)

ですから、5枚目の写真の樹は来春には石に付けられてしまいます。そのための準備というわけではありませんが、今のうちから、これくらい根を露出させておくのです。このようにしておけば、「おっ、これは石付け用の苗だ」と一目見てわかるからです(笑)。もちろん、土中の根の状態如何では、石付けではなく根芸を作る樹になってしまうかもしれませんが、間違いなく普通の文人にすることはありません

このような感じで、2年目もしくは3年目の秋の作業は完了です。樹が小さいですから、1本行うのでも10分もあればできてしまうほど簡単な作業です

ちなみに、30cm以上の樹を作るような場合は、最低2年間以上は直根を切らずに、伸ばしっぱなしにしておき、2年目の秋に直根を切ってゆるい曲をつけると良いと思います

by haruka000s | 2007-10-29 22:38 | 木作り  

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