箱根サンショウバラ

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 先日は文人の箱根サンショウバラを紹介しましたが、本日は、小品のサンショウバラを紹介してみます

 この木は、富士山や箱根周辺にだけ自生している樹ですので、山梨と静岡は本場ということもあり、作っている人はけっこういそうですが、実はあまりいません。自生している大きな木を見ますと、肌はつるりと白く、山椒のような小さな葉がついて、ピンクの大きな花が咲く光景は、なかなかのもので、それを盆上で表現しようとすると、なかなか難しいものがあります

 樹形作りもですが、なによりも花付きが悪いのが、あまり好まれない原因かもしれません。甲州野梅も花が咲くまでには、かなりの年月を要しますが、このサンショウバラも花付きが悪いので負けていなく、鉢に入れて10年近くも花が咲いた事がない・・・などということを耳にしたりするくらいですから、花付きが悪い事は間違いありません

 一才性とかのように、花付きが良い個体が選別されれば、これも解消されるだろうと思いますが、現状では、なかなか難しいものがあり、しばらくの間は自然個体で楽しむしかありません。自然個体だからといって、すべての個体が総じて花が遠いわけでもなく、ひょっとすると剪定に原因がある場合も多々あります

 植物には、それぞれ花芽の形成期というものがあります。前年に花芽を形成するものから、その年の新梢に花芽を形成するものもあるくらい、花芽の形成期はマチマチで、種類によってまったく違っています。サンショバラの場合、恐らく夏が花芽の形成期になるはずですから、梅雨入り前くらいに剪定を済ませる事と、花芽の形成期に入るまえに、花芽を作るために必要な栄養素を供給してやる事が必要になります

 普通の雑木と同じように、秋~冬になって剪定をし、花芽を落としてしまい、「花がこない・・・」と悩んでいる方も、恐ろしくたくさんいます。雑木の花物とか実物と呼ばれている物はたくさんありますが、この花芽の形成システムを良く理解していないと、上手に花をさかすことができない種類もありますので、「花付きが悪い」とか「なかなか花が咲かない」などと悩んでいる方がいましたら、植物生理の勉強をちょっとしてみますと、簡単にその原因を知る事ができるかもしれませんので、そのような事で悩んだ時は「花の品種+花芽形成期」でググってみると、簡単に答えが発見できることと思います。盆栽の本やサイトなどいくら眺めても、正確な答えが出てくることはありません

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 さて、このサンショウバラに花を咲かす事ができるかどうかについてですが、この樹種は、この手のバラ科植物と同様に前年の短枝に花芽が形成される特徴があります。ですから、短枝は剪定せずに大事にとっておくようにしてあり、春から伸び出した新梢については、好き勝手に剪定してあり、不要な枝も切除しておき、写真のとおり剪定は完了しました

 あとは、花芽を形成するのに必要な栄養素を与えるだけです。花芽を形成するのに必要な栄養素とは、ズバリ『リン酸とカリ』です。ここで窒素分の多い肥料を与えてしまいますと、また枝葉だけが伸び出してしまう事になってしまいますので、窒素分が少なくリン酸とカリを主体の栄養を与えますと、花芽が形成されやすくなるのです

 窒素分がほとんどなく、リン酸とカリだけの栄養素などというものは、花の生産業者だけが施用している、いわゆる業務用の肥料になってしまい、普通は入手する事が難しいのが現状ですが、幸い今はネット全盛時代ですので、よく調べますと、そのような肥料を小売りしてくれるサイトもありますので、欲しい方は、そのようなサイトから購入する事も可能です。また、多少窒素分が入っていても決してダメではありませんので、園芸店やホームセンターなどをこまめに見ますと、リン酸とカリが豊富に含まれている肥料を置いてある場合もありますので、それで代用することができるでしょう。僕は、リン酸とカリ分だけの肥料を施肥してあります

 このように、それぞれの植物生理に基づいた肥料計画(栽培計画)を行うのも、盆栽作りの面白さでもあります。もちろん、花付きの良い樹種に対して、このようなきめ細かな栽培をする必要はまったくありませんが、「花付きが悪い」とか「花が遠い」とか言われています実生野梅・ズミ・サンショウバラ・カマツカなどは、このような栽培方法(剪定・施肥)を行う事により、意外と早くから花を楽しめる場合がありますので、覚えておくと良いかもしれません。もちろん、山野草にも当てはまる場合がありますので、山野草栽培にも役に立つと思います

 さて、少し前に紹介しましたのと今回の小品サンショウバラですが、このような栽培(梅雨前の剪定・リン、カリだけの施肥)をしたからといって、必ずしも来年花が咲くというわけではありません。しかし、このまま新芽を伸ばしておいて、秋になったら剪定をするというような普通の雑木と同じ感覚で栽培するよりも、はるかに花は咲きやすくなるはずですから、花付きが悪いと悩んでいる方は、試してみる価値はあると思います

 いずれにせよ、植物の生理を知って栽培するのと、知らないで栽培するのでは、段違いの結果が生まれてきてしまいますので、少なくとも植物生理くらいは、もう少し勉強する必要があるように思っています
 少し前に、効果的な施肥について、いつか書きますとしましたが、そのうち、その事について少し触れてみたいと思いますので、興味をお持ちの方は楽しみにしていてください

それにしても、画像が悪くて申し訳ありません
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by haruka000s | 2007-06-14 22:47 | 盆栽  

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