丹頂草

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 丹頂草は、正式名はイワヤツデで、春先の山野草として、親しまれている野草で、この時期になると目を引く野草です

 花茎が立ち上がって咲く様が丹頂鶴に似ているので、その和名が付けられていて、その名のとおり、花茎が立ち上がっている姿に特徴があります。一般的な普通種、大型になる種、矮性種の3種類があるみたいですが、僕は普通種を主役用と添え用の2種類の大きさで作っています

 この草を主役として飾る場合は、花茎が立ち上がる様子を綺麗に表現するため、浅鉢で広めに作るよう心がけていまして、写真の鉢は八寸の平鉢に植え込み10年ほど経過したものです。だんだん、望んでいた感じになってきたのですが、これを一間の床の間に置いてみますと、やはり、ちょっと小さめで、一間幅の床の間には少し弱すぎな感じです。平鉢で低植えをしていますので、株のボリュームもないので、これは仕方がありません。そろそろ一尺くらいの平鉢に植え替え、養成していこうかなと考えているところです

 瑠璃の丸鉢か楕円でにも植えかえますと、さらに良くなりそうですが、このように焼き締めの鉢も野趣ある感じがして捨てがたいですね。一番良いと思うのは、瑠璃の楕円だと思っているのですが、面倒なのでこのまま根洗いにでもしてしまおうと考えています(笑)
 


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 2枚目の写真は、添え用に小さく作っている鉢です。こちらは、あくまでも添え用ですので、使いやすいようにと、根茎を少し団子状に盛り上げて植え、花茎を斜めに出すようにして形を整えるようにしています。株にちょっとボリュームを持たせるように作る事により、添えとして使いやすい形状になってくるからです

 僕の場合、同じ草であっても、ただ漫然と作っているわけではなく、このように主役と添えを作り分けています。もちろん、どんな草でも作り分けているわけではありませんし、鉢の大小(主役か添えか)にかかわらず同じように作っているのがほとんどではありますが、希にこのように作り分けをする場合があります

 ご存じのとおり、この草の特徴は、持ち込めば持ち込むほど根茎が盛り上がって、瘤状になっていき、そこから芽や葉が出たりします。その風情がこの草の特徴なので、この草を作っている大部分の方は、この根茎を見所とするため、あえて高植えみたいにして、根茎を見せるように作っています。僕の場合、鉢の上に巨大な根茎が見えるような感じのものは、風情を感じる事はできても、美しさをそれほど感じる事ができず、あまり好きではありません

 どちらかというと、花茎がスーッと立ち上がって花が咲いている姿がこの草の一番の見所と思っていますので、平鉢で浅く広めに作って、花茎が立ち上がる様を美しく見えるように作っているのです。もちろん、添え専用に作る場合は、形状重視で作っていますので、どのような石にも合わせやすい形に作っています。たかが草ではありますが、同じ草をつくるのにでも、これほど正反対の美の表現方法があるという事が、盆栽や山野草などの植物の面白さや奥深さではないでしょうか

 盆栽・山野草・水石などは、『古さ』が尊ばれている傾向にあります。もちろん古さも大事ですが、それと同等かそれ以上に大事なのが『美』ではないかと考えています。古くはあっても美しさがないため盆栽になり得ない樹はたくさんあります。それとは逆に、古さは足りないが形が整い、一定の美しさを感じさせ盆栽になっているものはたくさんあります。基本は鑑賞するものですから、やはりある一定以上の美を併せ持つ事が必要だと考えています

 書家さんや画家さんが、字や絵で自分の考えている美を表現するように、盆栽や山野草においても、ただ漫然と作るのではなく、自分の美意識を表現するようになってくれば、この世界も面白くなってくると考えているのですが、こればかりは、人それぞれですから、どうしようもありません。そこまでこだわることもないでしょうと言われそうです(笑)。しかし、漫然と作ろうが、自分の感性に従って作ろうが、管理する手間はまったく同じですから、どうせ手間を掛けるのなら、より美しくなった方が良いとは思っています
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by haruka000s | 2007-04-21 23:12 | 山野草  

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