挿し木・2

さて、初心者の方(僕もそれほど変わらないと思いますが)で挿し木は難しいと感じられている方がいるかと思いますが、僕なりに挿し木のコツというか注意点について、本日は書いてみようかと思います

挿し木を成功させる秘訣は、元気な挿し穂・用土の選択・管理(置場等)の3点があるのではないかと考えています。この3点さえしっかりと守っていれば誰にでも簡単に成功しますし、挿し木が難しい樹種についても成功率があがるのではないかと思っています

・元気な挿し穂
まずは挿す穂の選択ですが、挿したい樹種であればどのような穂であってもかまわないわけではなく、成功率(活着率)を上げるためには挿し穂の選択が最重要な事項なってきます
盆栽の本などでも書かれているかもしれませんが、病気がちな木や元気のない木から採取したような穂は、驚くほど活着率が悪いですし、たとえ発根しても弱い根や片根になったりと、あまり芳しい結果にはなりません。そのため、あくまでも元気な木から挿し穂を採取するのが最大のコツといえます
また、同じ木であっても木の梢などの先端部が一番活性が高いため、そのような部分から挿し穂を採取しますと活着率が高くなるのは当たり前のことですので、とにかく元気で活性の高い部分を挿し穂に使うのが最大のポイントになります
もちろん、挿し木が容易な木であれば、元気のないような挿し穂からも発根はしますが、前述したとおり弱い根しか出なかったり片根になったりと、満足のいく苗木にはなりませんので、後々の生育を考えれば、元気な挿し穂から作る苗の方が圧倒的に早く時間短縮ができますので、これから挿し穂を探すような方は元気な挿し穂を探すようにしたら良いと思います

・用土の選択
活着率の良い樹種であれば、どのような用土を使ってもそれほど変わりはないと思いますが、僕の経験上、一番良いのは鹿沼土単体でしょうか。保水力もあって排水性も悪くありませんので、僕の場合、用土は鹿沼土専門です
真柏など活着率の高いものであれば砂100%でも、まったく問題なく発根しますが、砂100%の場合、雑木類ではつきにくいものも多く、そのため、鹿沼土の小粒をメインに使うようにしています、また、元気な挿し穂を確保することができず、あまり状態の良くない挿し穂を挿さなければならない場合などは、鹿沼土の細粒という一番細かい粒の床に挿すようにしています。挿し穂がわずかしかなく、絶対に発根させたいような場合、僕は細粒を使っています
・管理(置場等)
元気な挿し穂を確保でき、鹿沼土の用土に挿したら、あとはその管理が重要になります
挿し木後の管理で重要なのは、置場の選択と管理方法です。樹種にもよりますが、半日陰になるような置場が望ましく、半日以上陽が当たるとか、まったく陽が当たらないような場所ですと、活着率は下がってしまいますし、発根状況もそれほど良いものを期待することができません
ですので、挿し穂の置場については、半日陰・やや明るい日陰などのような場所で管理するのが大事なのかなと考えています
また、管理方法で一番重要なことは、挿し穂を動かさないことで、そのためには、風が通るようなところはあまり好ましくなく、なるべく風の当たらない場所に置くことも重要です
もちろん、挿し穂を動かすのも厳禁ですので、一番良い方法は、風があまり通らない半日陰に放置しておくことでしょうか(笑)。樹種や挿し穂の状況により発根スピードは違いますが、今挿しておけば遅くとも夏には発根してきますので、それまでは放置しておくだけで充分です
その後は、秋になってポットあげしてもかまいませんし、そのまま越冬させて翌春にポットあげしてもかまいません

・その他
ルートンとかオキシベロンなどの発根剤が売られています。これは植物の発根を促進させるホルモン剤で、このホルモンを挿し穂の切り口に塗っておくと発根が促進されるそうですが、僕は塗っても塗らなくてもそれほど変わることはないだろうと思っていますので使用したことはありません

樹種によっては、『今年伸びた枝の活着率が良く前年枝は活着率が悪い』『前年枝は活着率が良いのに、新梢は良くない』『どのような枝でも活着率は変わらない』などの特性があったり、加湿気味から乾燥気味まで好みもありそうで、樹種の特性を理解することも大事かなと思います。まあ、ここまでこだわるのはよほど特殊なケースで、挿し木が難しいと呼ばれているような樹種については、何らかの特性を持っているだけで、一般的な樹種であれば、ここまで研究する必要はないでしょう

発根の特性というようなものもありそうで、これを理解しておくことも結構重要な事です

挿し木が発根するメカニズムとは、ご承知のとおり吸い上げられた栄養分が挿し穂を降りてきて、最後の切り口部分に溜まりカルスとなって栄養分が蓄積されて発根します。もちろんカルスができないものもありますが、栄養分が下方へ降りてきて発根するというのに変わりはありません

そして、重要なことは、その栄養分は葉で作られることで、葉で作られた栄養分はその葉に続く水吸い通じて降下し、切り口部分から発根することなのです

植物の葉が生えるパターンは、互生・対生・輪生があり、呼んで字の如く互生は互い違いに葉が生えてくるパターンで、カナシデなどがあります。対生はモミジやムラサキシキブなどのように枝の同じ位置から左右に葉が生えるもので、輪生は同じ箇所から3つ以上の芽が出るもので松類がその代表でしょうか

前述したように、挿し木をしますと葉で作られた栄養素は水吸いを下がり発根します。発根しやすい樹種であれば勝手に八方根張りになってくれますが、普通の樹種では簡単に八方根張りにはなってくれません。これは、葉から降りてくる養分の行き場所が決まっているからです。つまり、平面的に見れば、互生も対生も左右から養分が降りてくるため、その葉のついている下の部分から発根するからです

互生も対生も、左右の葉量が同じであって、挿し穂を垂直に立てて挿しておけば、計算上は左右同じ確立で発根しますので、根張りは良くなりますが、左右片方にしか葉がなかったり、左右の葉量バランスが大きく違う場合は、片根になりやすくなってしまいます

また、栄養分の多い少ないによっても発根量は違ってきて、葉量のあるものは発根しやすく、葉量の少ないものは発根しにくくなっています

輪生の場合は、3つ以上の芽がありますので、比較的均一に発根しやすく、根張りは自然と良くなります。黒松などで八方根張りを作るために軸切り挿し芽をするのもこの特性があるからかもしれません

ここまで書いてくればわかると思いますが、根張りが良く均一な発根量で、発根数を多くするためには、葉量を多くする事が必須となり、ミニ狙いで1芽挿しとか2芽挿しなどのような挿し方をしていますと、思うように発根しないことが多くなってしまい、それとは逆に葉量の多い真柏の太枝差しなどは、嫌でも八方根張りになってしまうのです。もちろん発根量が違いますと、その後の生育にも大きく影響を与えることは言うまでもなく、発根量が多いものほど旺盛な生育をみせます

このような植物生理があるため、僕は葉量をたくさん残したまま挿し木をするようにしているのですが、ここで注意したいのは蒸散バランスです。葉を残せば残すほど葉から水分が蒸散する量は増えてしまい、数時間直射日光に当たっただけでも枯れてしまうものもあり、樹種によって残す葉量を変えたり、あるいは蒸散を少しでも減らすためにドームみたいなもので囲ったりしながら、樹種に応じて変えていけば良い苗を作ることができるのです

例えば、性の良い唐カエデを増やしてみたいと思ったならば、3~4枚残し、7~8枚残し、10数枚残し、20数枚残しなどのように葉量を変えて挿してみれば、自分の管理方法では何枚残しまで耐えられるのかがわかり、効率の良い苗木づくりを行うことができます

僕もこのような実験を積み重ねて、このような樹種ならどれくらいまで葉を残せば良い発根をするのかということを体験的に知ることができるようになりました
[PR]

by haruka000s | 2012-06-06 00:05 | その他  

<< 剪定 挿し木・1 >>